島津製作所は、プラスチックや樹脂複合材料の引張試験を最速20m/秒(時速72km)で行える高速衝撃試験機「HITS-TX」の販売を開始した。価格は2,900万円(ソフトウェア込み、税別)。

高速衝撃試験機「HITS-TX」

近年、自動車業界を中心に、さまざまな部品を加工性に優れる軽量な樹脂系素材や高機能な樹脂複合材料に置き換える動きが急拡大しており、衝撃特性や強度に関するデータを安全性のシミュレーションに利用するため、高速な引張試験が注目されている。

一方で、高速引張試験には公的に定められた試験規格が存在していないことから、近年、ISO(国際標準化機構)で規格の必要性が議論されている。2003年から高速引張試験が可能な装置を提供している同社は、プラスチックや樹脂系複合材料の評価技術の確立を目指す日本の素材メーカーとともに、試験規格の制定を推進している。

こうした状況をうけ、同社はプラスチックや樹脂系複合材料の研究開発の進展により高速引張試験の重要性が高まることを見越し、同製品を開発。自動車メーカーや素材メーカー、受託試験企業などに同製品を展開し、発売から3年間で50台の販売を目指すとしている。

同製品は、最速20m/秒、最大試験力10kNで高速な引張試験を行える装置。データ処理方式を一新したことで、一般的な速度の引張試験のようなノイズの少ない波形を得ることが可能になった。秒間1000万コマの最高撮影速度を有する高速度ビデオカメラ「Hyper Vision(ハイパービジョン) HPV-X2」を組み合わせて使用すれば、材料の衝撃物性と破壊挙動のデータを同時に取得できるという。