リバーベッドテクノロジーは11月9日、クラウド上のセキュリティゲートウェイを手がけるZscalerと企業のセキュアなクラウド移行を支援する共同ソリューションを発表し、販売を開始した。同ソリューションは、SD-WANソリューション「SteelConnect」とZsxalerのクラウドセキュリティプラトフォームを統合したものとなる。

今回のソリューションの組み合わせにより、企業は機器や場所を問わず、適切なユーザーを適切なアプリケーションにセキュアに接続させることが可能になる。両社は、SteelConnectのグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を介して、Zscalerをアプリケーション定義ポリシーとオーケストレーションエンジンに統合し、Zscaler Security Cloudへのトラフィックの特定と誘導のアプローチを効率化するとしている。

また、グローバルで100カ所以上のZscaler Data Centerから、SteelConnectネットワークの各拠点で使用する際に最適なものを動的に選択し、簡素かつクラウドベースのサービスとハイブリッドWAN上のインターネット広帯域通信利用を拡大させる能力を企業に提供するという。

リバーベッド テクノロジー 技術本部長の草薙伸氏は「従来型ネットワークは、比較的シンプルで境界を構築するという考え方であり、現在ではエンドユーザーデバイスやワークロードなどが分散しているため、境界線の構築が困難になっている。そのため、安全にユーザーをアプリに接続する新しいセキュリティモデルが登場し、Zscalerのソリューションが活用されている」と述べた。

リバーベッド テクノロジー 技術本部長の草薙伸氏

その上で「Zscalerのテクノロジーは、アクセス制御や脅威対策、データ保護のマルチテナントクラウドセキュリティプラットフォームを提供している。今回、われわれのSD-WANとの親和性が高いZscalerとの接続が可能となった。シンプルでわかりやすく、Amazon Web Services(AWS)とAzureにワンクリックで接続できるほか、SaaSのブレイクアウトを管理し、エンドツーエンドでSaaS/Iaasに最適化することが可能だ」と、同氏は強調する。

共同ソリューションで提供を可能にする項目一覧

今回のソリューションのメリットとしては、集中化およびクラウドベースのネットワークやセキュリティ機能の管理により、支店業務の簡素化とビジネスにおける俊敏性の向上を実現するほか、ローカルから特定のクラウドアプリケーションのみインターネットにオフロードするインターネットブレイクアウトを可能にすることで、ネットワークの種類やユーザーの居場所を問わず、アプリやデータへの高速接続を提供するという。

また、パフォーマンスを損なうことなく先進的な脅威防止、データ保護、アクセス制御を実行することで、ユーザーのネットワークへの接続方法を問わず、普遍的なユーザー保護を確実に提供するとしている。

草薙氏は「従来はファイアウォールで提供されていたセキュリティサービスをクラウドで展開することが可能となった。つまり、これまでSD-WANのターゲットであったVPNルータだけでなく、ファイアウォールVPNのマーケットにも提供できるようなる」と、説明した。

従来のVPN接続では、設定は個別のサイトに対して行っていたが、ほぼ全自動で行えるほか、SD-WANに関してはスタティックな手動設定から自動的な遅延最適化を実現するという。さらに、柔軟性はすべて接続か、すべて接続しないかだったものの、インターネットブレイクアウト設定ができ、トラフィックパスルールとなっている。そして、可視化については、これまでリストでトンネルのアップダウンを表示していたが、Insight＋health dashboardで詳細に可視化できるという。

従来のVPN接続との比較

同ソリューションの適用範囲は拠点間WAN、店舗型NW、グローバルWANを想定している。今後の課題としては、クローズドネットワークにこだわる層の取り込み、ダイナミックに拠点が増減しない顧客にアピールできるのか、SD-WANを取り巻くビジネス構造の3点となる。

今後の課題の概要

なお、今回のソリューションは「SteelConnect Version 2.9」から提供し、リバーベッドテクノロジーは同日より、提供を開始。また、Zscaler の提供は日本における総代理店であるノックスより提供する。