IDC Japanは11月9日、2月に実施した国内SMB(Small and Medium Business:従業員数999人以下の中堅中小企業)ユーザー調査、ならびにベンダー、SIerなどへのヒアリング調査結果などを分析し、国内SMBにおける第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、データアナリティクス、ソーシャル技術)、ならびにイノベーションアクセラレーター(コグニティブ/AIシステム、IoTなど)の利用動向について発表した。

国内第3のプラットフォーム市場におけるSMBのIT支出額は、2017年に前年比成長率5.3%の2兆9869億円を見込んでおり、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は6.2%を予測している。SMBにおいても、第3のプラットプラットフォーム市場のIT支出額が拡大し、今後の国内SMBのIT市場全体を牽引すると推測している。

国内第3のプラットフォーム市場 SMB 従業員規模別 支出額予測、2016年~2021年

現時点の支出の中心はモビリティで、徐々にクラウドの利用が拡大しているほか、データアナリティクスでは、まだ一部に留まっているものの、導入を検討するSMBは大都市圏を中心に徐々に拡大しているという。売上拡大といった成長戦略の観点から、ソリューション活用を模索する企業も増えているほか、人材不足ならびに「働き方改革」がSMBにおいても喫緊の課題となっていることから、第3のプラットフォーム活用が促進されることが想定されている。

国内SMBユーザー調査において、SMBにおける第3のプラットフォームの利用検討状況を見たところ、モビリティの導入は進んでいるものの、クラウド、データアナリティクスの導入率は10~20%台に留まっている。しかし、ITを活用して効果を期待する経営課題のうち「売上拡大」または「業務プロセス変革」を挙げたSMBでは、第3のプラットフォームを積極的に導入する傾向があったという。

このように、企業変革を目的にした戦略的なIT活用を模索する企業では、第3のプラットフォームを中心としたIT活用が見込まれている。SMBでも業務変革を目的にした戦略的なIT活用を模索する企業を中心に、第3のプラットフォームの積極的な採用が進むと予測しているが、現状では各ソリューションを導入するに際して課題も多いと推測。

同社のITスペンディング リサーチマネージャーである市村仁氏は「ITサプライヤーは、国内SMB IT市場において、第3のプラットフォームのソリューションの利用を促進するためには、企業変革に向けてのロードマップをユーザー企業に提示することが求められる」と分析している。