物理レーダーにおける表示方法の違いが対象物の捕捉能力を著しく左右するという話があるが、ほぼ同じ目的で利用するツールでも、分析手法の違いにより成果が変わってしまうのはデジタルの世界でも同様だ。

BIや可視化というキーワードが示すようにデータ分析の手法は著しく向上しており、マーケティングや業務改革、生産性の向上に大きく寄与している事例は、Web上に数多く掲載されている。国や自治体が出す膨大なデータにも、取り組んでいる課題に応じた有益な情報が隠れている。

富士通ソーシアルサイエンスラボラトリは1日、地域の特性見える化・分析ツール「EvaCva+(エヴァシーヴァ・プラス)」のSaaSサービスでの提供、販売を開始した。経済、社会、環境分野全国1741市区町村の特性を分析でき、事業所数や税徴収率、人口増減率や保育所数、可住地面積やゴミ排出量など184項目(10月現在)の詳細な指標、レーダーチャートや散布図などのグラフ、ヒートマップや時系列など多様な可視化で自治体の特性を比較できる。

「EvaCva+」画面イメージ(以下同社資料より)

ヒートマップでの例

オープンデータに加え、オリジナルデータもCSV形式でアップロードすることで可視化できるため応用の幅も広がるほか、特性が類似する自治体の中で課題と設定した指標が優れている自治体の自動抽出や産業特性に基づいた参考自治体の抽出機能も搭載。施策立案や企画提案、出展計画のマーケティングなど可視化されたデータはそのまま、根拠を裏付ける提案力に変えられる。

前身となる「EvaCva」は、2014年に富士通と富士通研究所が共同で開発しており、自治体を中心に無償版で提供。実証実験を経て、無償版に新たな指標や自動抽出機能など新機能を加えて今回の販売へと至っている。同社では、自治体や企業に向け「EvaCva+」を提供することで、地域特性を活かした戦略立案や地方創生を支援していく構え。