IDC Japanは10月26日、国内ストレージサービス市場の2021年までの予測を発表した。これによると、2016年の国内ストレージサービス市場全体の売上は2015年比1.1%減の2059億9300万円となった。また、2016年~2021年における平均年間成長率(CAGR)はマイナス0.5%であり、2021年の売上額は2008億9500万円にとどまる見通しだという。

国内ストレージサービス市場の売上予測(2016~2021年) 資料:IDC Japan

国内ストレージサービス市場では、ストレージ機能(主にソフトウェア)の進歩により構築の作業を簡素化していくことで導入/構築サービスが減少し、オンプレミスのストレージインフラに向けた支出漸減によって保守サービス売上も縮小しているという。

ITインフラの効率化やストレージインフラの再設計などのコンサルティングは拡大しているものの、市場の売上額構成比は前述の2分野と比べて小さいため、国内ストレージサービス市場は全体として緩やかな縮小傾向が続くと予測している。

ストレージサービス市場全体の売上は拡大しないが、コンサルティングは需要が堅調と同社は推測。ITインフラのトランスフォーメーション、つまり従来システムの運用効率化/自動化と次世代アプリケーション(モバイル、ビッグデータ、IoT、コグニティブ/AI)に向けた柔軟性の高いITインフラストラクチャの設計コンサルティングや、クラウドの利点を最大限に取り込んだエンタープライズインフラのハイブリッドクラウド化を支援するサービスなどは、需要拡大が見込めるという。

クラウドサービス拡大の影響については、オンプレミスで稼働していたシステムのクラウド移行が一巡したとしても、クラウド間の移行も含めて最適な配備を見直す動きは、その後も継続すると見ており、オンプレミスのシステム向け支出の減少は直接的にコンサルティングの売上に影響しないと同社は想定している。

同社のエンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーである鈴木康介氏は「企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組む上で、ITインフラの柔軟性、拡張性、経済性を高める変革は不可欠になる。特に、IoT、コグニティブ/AIシステムの利用シーンでは、取り扱うデータ量の増加に効率的に対応するため、クラウドを含めて新たなストレージインフラを再構築する必要性が高まるであろう。ストレージサービスは、導入/構築サービスや保守サービスといった定型サービスから高付加価値の運用課題コンサルティングやストレージインフラ設計へとビジネスの重点が徐々に移っていく」と分析している。