NTTデータ経営研究所とJSOLは10月17日、情報通信研究機構(NICT)および大阪大学と共同で、ニューロフィードバック技術を応用した英語学習支援サービスの開発を開始したと発表した。効果を実証できれば、2018年4月以降に実際のソリューションとしてトライアルサービス事業を展開し、2018年度からの本格的な商用化を目指す。

ニューロフィードバック学習のイメージ

ニューロフィードバックとは、脳波計測などにより、現在の脳の状態を視覚などを通して本人にフィードバックする技術。今回の研究開発では、「学習者が自ら気付くことができない脳情報を本人にフィードバックし、適切な方向に変化させることにより、英語の音素を聞き分ける能力を向上させることができる」という、NICTと大阪大学が研究開発している基礎技術などに基づき、実際の英語学習サービスに脳活動計測と、そのフィードバックを導入することを目指す。

英語学習におけるニューロフィードバック利用の利点として両社は「意識的に音素の聞き分けができていない状態でも脳情報を利用することでリスニング能力を向上させることができる」「短期間・短時間で効果が得られる(今回の研究開発で検証)」「脳情報をフィードバックする手法にゲーミフィケーションを取り入れ、楽しく英語学習をすることができる(今後検証予定)」「点数化していない・意識できていない能力向上度合を脳波によって評価し、学習者にフィードバックすることでモチベーションを維持させる(同)」の4点を挙げる。

10月から英語学習者(社会人)を対象に、その有効性の検証やアプリケーション開発を行い、将来的には学校や学習塾などで学生も対象とする予定だ。

検証項目は「3日間程度のニューロフィードバック学習で英語リスニング能力向上が見られるかどうか」「オフィスでトレーニング実施が可能かどうか」「ビジネスパーソンを対象に効果が見られるかどうか」の3点。

実験では、実際のオフィス環境で社員を対象として、短期間のニューロフィードバック技術を用いた英語学習トレーニングを実施し、英語リスニング能力が向上するかどうかを実証。

この技術を利用して脳そのものへアプローチすることによって、これまで日本人学習者にとっては困難かつ挫折しがちだった「リスニング能力の向上」に関して、従来の学習方法ではなし得なかった学習成果を期待できるという。

2018年4月以降、JSOLを主体としたNTTデータグループにおいて、科学的エビデンスに基づいたニューロフィードバックによる英語学習支援のサービスのトライアル提供を予定している。なお、今回の研究の一部は、大阪大学COIプログラムの支援を受けて行う方針だ。