サイバーエージェントの連結子会社でアドテクノロジー事業を行うAJAは9月19日、デジタルインファクトと共同で、国内プライベートマーケットプレイス(以下、PMP)の市場動向調査を実施し、その結果を発表した。

同調査はインターネット広告業界関連事業者へのヒアリング調査ならびに公開情報、調査主体およびデジタルインファクトが保有するデータ等を参考に行われたもので、広告主が支出する広告費を対象に市場規模を算出している。

インターネット広告PMP取引市場規模予測

これによると2016年後半以降、広告の買い手側である広告主から、不正広告詐欺 (アドフラウド)や、自社ブランドを毀損する広告配信先に対する不安、配信された広告が実際にユーザーの目に触れられている(ビューアブル)かどうかを検証すべきであるという声が高まっているという。

加えて、安心・安全な媒体、あるいは自社ブランドにふさわしい広告枠において、適切なユーザー層とコミュニケーションを取ることに対する需要がより一層増した。

一方、広告の売り手側である媒体社からは、法令違反をしている不適切な広告クリエイティブやユーザーにとって不快な広告クリエイティブが配信される懸念や、広告取引における各媒体の広告枠に対する適正な評価のもとでの広告取引を求める声が上がっている。

これらを背景に、2016年から2017年にかけて大手広告会社や媒体社によるPMP関連事業への新規参入と事業拡大化および需要の掘り起こしが進み、2017年のPMP取引市場規模は125億円、RTB取引流通総額の12%を占める見通しだ。

また、今後はPMP需要のさらなる拡大と、取引における技術的な改善が進むことを前提に、2021年の国内PMP取引市場規模は2017年の約3倍にあたる387億円に達し、RTB取引額の22%を占めると予測される。

インターネット広告PMP取引市場規模予測

インターネット広告PMP取引市場規模予測(フォーマット別)

2017年のPMP取引市場のフォーマット別内訳は、動画広告が46億円、静止画広告が79億円であると予測。動画広告は、2021年には2017年の約4倍となる197億円に達し、全体の51%を占める見通しだ。

自社ブランドの広告が適切な場所に表示されることを強く求める広告主を中心に、動画広告の出稿において、PMPを介した広告取引需要が拡大。動画広告の配信においては、実際にユーザーの目に触れられること(ビューアビリティ)について、広告の買い手側がより強く意識することなどが、PMPの需要拡大を後押ししているという。

動画広告と静止画とで構成されるリッチメディア広告の展開においては、大手広告主を中心にPMPを活用した広告取引量が増加していく見込み。今後も大手媒体社によるPMP取引への注力化が進み、在庫が増加していくことにより、需要は今後も拡大を続けることが予想される。

また、静止画広告の展開においても、広告主や広告代理店からの依頼を受けたDSP事業者が、広告買い付けにおいて費用対効果の最適化を実現する手段として、PMPを介した取引の量を増やす傾向もみられる。

インターネット広告PMP取引市場規模予測(フォーマット別)

PMP取引市場の今後の見解

広告の買い手側である広告主は、PMP取引により、ブランドセーフティを担保しながらも、広告主・広告会社・媒体社が持つ各種ユーザー属性データを活用し、媒体を横断した効率的かつ効果的な広告配信が可能になる。

広告主が理想とするユーザーとのコミュニケーションシナリオをもとに、最適な時間に、最適なユーザーへ、最適なメッセージを送り届けることができる手法として、広告主の間で今後ますますPMPの利用拡大が進むことが予想される。

一方、広告の売り手側である媒体社は、表示回数(インプレッション数)やクリック数のみに広告収入額の多寡が依存する傾向があった従来のオープン・オークション市場とは異なり、媒体・コンテンツの質や独自性が加味された上で、個々の広告枠の広告収入額が再評価されるPMP市場での広告取引量をより増加させるとの見込み。

このような両者の需要の拡大によるPMPの取引量の増加が進むことで、PMP取引市場は今後さらに成長を加速していくことが推測できる。