App Annieは9月12日、動画ストリーミングアプリ市場の現状を分析した調査レポート「アジアの動画ストリーミングアプリの現状」を公開した。それによると、日本は、アイドルとの双方向コミュニケーションを実現した「SHOWROOM」などの実況配信型動画アプリが収益をあげ、AbemaTVなどテレビ局と協業した企業のMAUが過去1年で2倍以上に増加するなど独自の市場様相を見せているという。

APACにおける2016年上半期と2017年上半期の、上位5位の平均セッション時間を比較すると、日本は約9分で首位。また、動画ストリーミングによるデータ通信量も大幅に増加し、動画によるデータ利用は2016年から50%の年平均成長率で増加し、2022年には全モバイルデータトラフィックの4分の3を占めると予想しているという。

動画ストリーミングアプリ上位5位の平均セッション時間(2017年上半期と2016年上半期の比較)

中国では、自国の動画ストリーミングプラットフォームが動画アプリのランキング上位を独占しており、韓国や日本では、多くのチャンネルを網羅するアプリの利用率が高いという傾向があるという。

たとえば日本では、テレビ朝日とサイバーエージェントが共同で手がけるAbemaTVが、2017年上半期にMAUを前年同期比で100%以上に伸ばし、韓国ではoksusuがMAUを50%近くまで伸ばしたという。

一方でグローバル企業も有力で、日本ではAmazon VideoがMAUを150%増やし、韓国ではライブストリーミングプラットフォームのTwitchが400%の増加を記録。モバイル動画ストリーミングサービスの大手各社による競争は最高潮に達しており、その結果利用時間と収益が爆発的に伸びているという。

MRU上位の動画ストリーミングアプリ(2017年上半期)

マネタイズモデルも各国で特徴があり、中国では、iQIYIなどの長編動画ストリーミングアプリの多くが、有料会員モデルと少額課金モデルの両方を採用し、都度課金を好むライトユーザーをターゲットに。トライアル期間が過ぎたユーザーを締め出すのではなく、コンテンツの大半を無料ユーザーと課金ユーザーの両方が視聴できるようにしながら、課金ユーザーには、広告なし視聴・テレビの生放送番組の録画再生・オフライン視聴など、便利な機能を提供しているという。

韓国では、pooqなど無料のテレビ放送とライセンス付きコンテンツの両方を提供する総合型のOTT(オーバーザトップ)アプリが、比較的若いユーザーの獲得に成功。こうしたアプリは、大半のコンテンツを無料で提供し、有料会員には広告なし視聴・テレビの生放送番組の録画再生・オフライン視聴などの機能を提供する。

日本では、少額課金システムを採用し、ライブ動画の視聴を通して直接配信者と双方向のコミュニケーションがとれる実況配信アプリ「SHOWROOM」が安定した収益性を誇り、視聴者はギフトアイテムなどを動画配信者に贈ることで自分への注目度を高め、動画配信者と直接コミュニケーションをとっている。

収益上位に動画ストリーミングアプリ(2017年上半期)