情報通信研究機構(NICT)は日本時間の2017年9月6日に、太陽面中央に位置する黒点群2673における2回の大型の太陽フレア現象の発生を確認。そのうち、日本時間20時53分に発生した現象の最大X線強度は、通常の1,000倍以上におよぶ大型のものであり、これに伴い、高温のコロナガスが地球方向に噴出したこと、ならびに高エネルギーのプロトン粒子の増加を確認したと発表した。

今回観測された太陽フレア現象の発生規模は、17時50分(日本時間)に発生したものがX2.2、20時52分に発生したものがX9.3で、後者の規模は、2006年12月5日に観測されたX9.0以来11年ぶりの大きなものとなる。

この太陽フレア現象に伴って、地球方向へ放出されたコロナガス(コロナ質量放出)は、日本時間の9月8日15時から24時ころにかけて地球に到来する見通しで、NICTでは、2008年1月より開始したと考えられる「第24太陽活動サイクル」の中でも最大規模の影響を与える可能性があるとして注意を呼びかけている。

具体的な影響としては、到来後数日間にわたって、地球周辺の宇宙環境や電離圏、地磁気を乱れさせる可能性があり、通信衛星、放送衛星などの人工衛星の障害やGPSを用いた高精度測位の誤差の増大、短波通信障害や急激な地磁気変動に伴う送電線への影響などが考えられるとしている。また、今回の現象は、現在太陽面中央西寄りにある黒点群2673で発生しているため、今後1週間ほど地球に影響を与える可能性があり、継続した注意が必要だとしている。

人工衛星SDOで観測された太陽画像(左: 可視光、右:紫外線) (出所:情報通信研究機構Webサイト)