NTTレゾナントは8月28日、「企業の防災意識と取り組みに関する調査」の結果を発表した。これによると、大規模テロ情報や弾道ミサイル情報などを発信するJアラート通知後の対策がまったく決まっていない小規模企業は51%に達するという。
同調査は同社が7月28日から8月2日にかけて、企業・団体において防災を担当している社員・役員・経営者を対象にインターネットにより実施。対象者は従業員数100人未満の小規模企業が553人、100人以上1000人未満の中規模企業が552人、1000人以上の大規模企業が550人の計1655人。
被災時における社員の安否確認手段を尋ねたところ、安否確認システムの導入比率は大規模企業が74%、中規模企業が53%、小規模企業が30%と、企業規模に応じて増加している一方、メールや電話は、企業規模が小さいほど導入率が高いことがわかった。また、電話回線がつながらない場合の確認手段を決めているか否か聞いたところ、大規模企業では73%が決めていると回答したが、小規模企業で決めていると回答した比率は50%に達しなかった。
災害時に得られる情報では「本人の安否情報(ケガの状況)」および「本人の安否情報(避難状況)」は企業規模を問わず60%以上が得られると回答している。一方、「家族の安否情報(ケガの状況)」「家族の安否情報(避難状況)」を得られるという企業は大規模企業で60%以下、小規模企業で40%以下にとどまった。
「通勤経路の状況」「自宅損壊の状況」「災害に関する最新状況」「支店・支社の被災状況」は、大規模企業でも災害時に得られるという回答は50%以下に過ぎない。そのうち「通勤経路の状況」「自宅損壊の状況」「災害に関する最新状況」は、いずれの企業規模においても20%以上が「現時点では得られないが、得ておきたい情報」としている。
災害の種類別に防災対策の意識を見ると、地震では大規模企業の86%が、小規模企業規でも72%が「意識している」「非常に意識している」と回答したが、テロについて「意識している」「非常に意識している」と回答したのは、大規模企業で48%、小規模企業では22%に過ぎず、比較的意識が低いと同社は見ている。
大規模テロ情報や弾道ミサイル情報などを発信するJアラートへの姿勢を尋ねたところ、「対応すべきと思う」という回答が企業規模を問わず80%を超えている。しかし、実際にJアラートの通知が来た時に対策をすでに決めているという企業は、大規模企業で24%、中規模企業で17%、小規模企業で14%にとどまった。また、対策が全く決まっていないという回答は、小規模企業で51%、中規模企業で45%、大規模企業で38%に上る。
今回の調査では、安否確認システムの導入において、大規模企業と小規模企業の間に安否確認の対策に差が出ていることがわかったという。また、被災時に迅速かつ確実に社員の安否確認を行うためには、一括して多様な情報を収集できる安否確認システムの導入が必要になると指摘。同社はこうした状況を踏まえ、企業や自治体向けの防災ソリューションに重点的に取り組んでいくと方針だ。