IDC Japanは8月2日、世界のロボティクスおよび関連サービス市場の予測を発表した。世界ロボティクス関連市場は加速度的に拡大して2021年には2307億ドルに達し、地域別では日本を除くアジア太平洋地域が最大の市場になるという。なお、同予測は米IDCが7月12日(現地時間)に発表したものを翻案したもの。

用途別は積荷降ろしが拡大

ドローンおよびロボット関連ハードウェア/ソフトウェア/サービスを含む2017年の世界ロボティクス関連支出額は、前年比17.9%増の972億ドルと予測。2016年~2021年にかけてロボティクス関連支出額は拡大し、2021年の市場規模は2307億ドル、CAGR(年平均成長率)は22.8%を見込んでいる。

また、組立製造とプロセス製造の支出総額はそれぞれ305億ドルと241億ドルに達するという。この2つの産業分野を合わせると、2016年~2021年の期間を通じてロボティクス関連支出総額の半分以上を占めるという。

用途別に見ると、組立製造での主要な用途である組立/溶接/塗装は2016年~2021年の期間で、世界のロボティクス関連支出総額の約4分の1になると予測。同様に、プロセス製造での主な用途であるミキシングは、ロボティクス関連支出総額の15%以上を占めるという。そのほかの用途では、自動採掘および棚出梱包(卸売)も支出額が増える見通しだという。加えて、2016年から2021年までの期間中にロボティクス関連支出で最も急速な拡大が見込まれる用途は、積荷降ろし(CAGR:71.6%)、教育補助(同:68.3%)、顧客への配送(同:60.6%)となる。

世界ロボティクス関連市場 ユースケース別 2016年~2021年のCAGR(上位5位まで)

テクノロジーではドローン関連が最も成長

テクノロジー別に見ると、2016年~2021年までの期間を通してロボティクス関連支出総額の半分以上(2017年は507億ドル)は、ロボットシステム/アフターマーケットのロボットハードウェア/システムハードウェアに振り分けられる。

2017年の時点でコマンド/制御、特定のロボット専用のアプリケーション、およびネットワークインフラストラクチャソフトウェアを含むソフトウェア関連支出額は152億ドルに達し、サービス関連支出(アプリケーション管理、教育&トレーニング、ハードウェア導入、システムインテグレーション、コンサルティング)の総額は、240億ドルを見込む。また、ドローンおよびアフターマーケットのドローンハードウェア購入額は、2017年で約70億ドルと予測。この2つのカテゴリーは、2016年から2021年までの期間全体を通して最も急成長が見込まれ、教育&トレーニング支出が続く。

地域別では21年に日本を除くアジア太平洋地域が最大市場

地域別では、日本を除くアジア太平洋地域(APeJ)が2016年~2021年までの期間でのロボティクス関連支出額の半分以上を占め、2017年は515億ドルに達するという。日本は、2017年に143億ドルと2番目に大きな市場となり、米国(136億ドル)と西欧(101億ドル)がこれに続く。ただし、2021年までには米国が第2位になると予測している。

これら4つの地域市場は、いずれも組立製造とプロセス製造による好調な支出が牽引し、2016年から2021年までの期間で最も急成長が見込まれる地域は、中南米(CAGR 26.5%)、APeJ(同25.2%)、米国(同24.1%)と想定している。