西松建設は7月12日、インフラ施設管理者の維持管理の省力化・効率化を図るため、省電力広域無線通信ネットワーク(LPWA)とIoT技術を利用したインフラ監視クラウドシステムを開発し、実証運用を開始したと発表した。今回の実証運用は、神奈川県川崎市内の工事現場で実施している。

システムのイメージ

新システムは、小型センサボックスを計測したいカ所に設置すれば、計測したデータを無線通信によりクラウドサーバへ転送し、計測データを管理できるため、スマートフォンなどで時間や場所を問わず閲覧できるという。

実証運用中のセンサボックス

同システムでは、屋外仕様の小型センサボックス内にセンサ、無線通信、乾電池を同梱し、ボックスを計測したい場所に設置すればすぐに利用開始できる。なお、ボックスの商品化時のサイズは、9cm×9cm×5cmとしている。

搭載するセンサは、傾斜および衝撃を計測する加速度センサ、紛失時に探索可能なGPSセンサ、現場環境を把握する温度センサの3種類。無線通信規格としてLPWAのうち「sigfox(シグフォックス)」を採用し、省電力広域無線通信が可能となり、乾電池で2年以上の稼動期間を確保するという。提供価格は、既存の類似技術の1/5を目標に開発を進めていく。

同システムの利用事例として同社は、斜面・擁壁・護岸・柱状物など、既存インフラの目視点検では定量的な確認が難しい変状を、安価な設備投資で手軽に確認したい場合を想定している。

今後の展開としては、現在実施している実証運用を通して改良および検証を行い、2017年内に仕様の確定を目指す。2018年以降に実用化を開始し、同システムを通して既存インフラの維持点検の効率化に貢献するとしている。