厚生労働省は30日、平成28年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
脳・心臓疾患に関する事案の労災の請求件数は825件で、前年度比30件増。支給決定件数は260件で前年度比9件増で、うち死亡件数も前年度比11件増の107件だった。
業種別の請求件数は「運輸業、郵便業」(212件)、「卸売業、小売業」(106件)、「製造業」(101件)の順、支給決定件数は「運輸業、郵便業」(97件)、「製造業」(41件)、「卸売業、小売業」(29件)の順に多かった。職種別の請求件数は「輸送・機械運転従事者」(187件)、「販売従事者」(97件)、「サービス職業従事者」(93件)の順、支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」(90件)、「専門的・技術的職業従事者」(30件)、「生産工程従事者」(27件)の順に多かった。
年齢別の請求件数は「50~59歳」(266件)、「40~49歳」(239件)、「60歳以上」(220件)の順、支給決定件数は「50~59歳」(99件)、「40~49歳」(90件)、「30~39歳」(34件)の順に多かった。
時間外労働時間別(1カ月または2~6か月における1カ月平均)の支給決定件数は、106件の「80時間以上~100時間未満が最も多く、「100時間以上」の合計件数は128件だった。
精神障害に関する事案の労災補償状況
精神障害に関する事案の労災補償状況については次の通り。請求件数は1,586件で前年度比71件増、うち未遂を含む自殺件数は前年度比1件減の198件だった。支給決定件数は498件・前年度比26件増で、うち未遂を含む自殺の件数は前年度比9件減の84件だった。
業種別の請求件数は「医療、福祉」(302件)、「製造業」(279件)、「卸売業、小売業」(220件)の順、支給決定件数は「製造業」(91件)、「医療、福祉」(80件)、「卸売業、小売業」(57件)の順に多かった。職種別の請求件数は「専門的・技術的職業従事者」(361件)、「事務従事者」(307件)、「販売従事者」(220件)の順、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」(115件)、「事務従事者」(81件)、「サービス職業従事者」(64件)の順に多かった。
年齢別の請求件数は「40~49歳」(542件)、「30~39歳」(408件)、「50~59歳」(295件)、支給決定件数は「40~49歳」(144件)、「30~39歳」(136件)、「20~29歳」(107件)の順に多かった。
時間外労働時間別(1カ月平均)支給決定件数は、84件の「20時間未満」が最高で、「160時間以上」も52件あった。
出来事別の支給決定件数は、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(74件)、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」(63件)の順に多かった。
なお今回は、過去6年分の裁量労働制対象者の支給決定件数についても公表されている。
過去6年間で、裁量労働制対象者の脳・心臓疾患の支給決定件数は22件。うち、専門業務型裁量労働制対象者の支給決定は21件、企画業務型裁量労働制対象者の支給決定は1件だった。精神障害の支給決定件数については39件で、うち専門業務型裁量労働制対象者の支給決定は37件、企画業務型裁量労働制対象者の支給決定は2件だった。