電通は6月16日、人工知能(AI)学習手法の1つであるディープラーニング(深層学習)を用いることで、高精度にテレビ視聴率を予測できるシステム「SHAREST(β版)」を開発したことを発表した。

これによると、同社は2015年10月よりデータアーティストと共同で、過去の視聴率データや番組ジャンル、出演者情報、インターネット上のコンテンツ閲覧傾向などのデータを教師データとしたディープラーニングによるモデル構築を行い、放送前のテレビ視聴率を予測するシステムの研究開発を行ってきた。

そして今回、高速データ解析プラットフォーム内で予測視聴率を算出するプログラムの構築を実現。視聴率の安定的な予測が可能になる。

「SHAREST(β版)」概念図

同社は今後、同サービスを活用し、関東地区で一週間内の放送枠の高精度な視聴率予測を実現する検証プロジェクトを実施する予定で、順次、関西や中部地区にも拡大していく。

さらに、近年、テレビメディアに関係するさまざまなマーケティングデータの取得が可能になっており、そうしたデータの利活用の1つとして、過去のテレビ視聴とマーケティングデータとの関連性をAIが学習することで、これまで達成が困難であったターゲット別(性年代別など)の視聴率予測とその自動化が可能に。

これにより、それぞれターゲットの異なる商材の広告を最適なCMポジションに割り付けることなどができるようになる。

今回のプロジェクトでは、同社内で予測視聴率を用いた実施検証を行い、将来的にはテレビCMの素材割り付けの高度運用と広告効果を高める実証を行っていきたい考えだ。

また、複数ブランドのCM素材を予測視聴率に基づいて広告枠に割り付ける場合、現在は視聴率の予測を人が行っているが、視聴率予測のAI対応による自動化より、業務の効率化においても大いに効果があると期待しているという。