国立がん研究センター中央病院は、根治手術後の小腸腺がんの再発予防効果を検証する国際共同第Ⅲ相臨床試験を実施すると発表した。
同病院と、希少がんの治療開発を目的とした国際的な臨床試験コンソーシアムInternational Rare Cancer Initiatives(IRCI)が共同で行うもので、また同病院の臨床研究支援部門が直接支援する研究班の集合体である日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group: JCOG)が計画・立案した第III相ランダム化比較試験となっている。
検証を行うのは、手術で完全に摘出された小腸腺がんに対するカペシタビン内服投与、およびオキサリプラチン静脈内投与の併用療法(CAPOX療法)の再発予防効果で、現在の標準治療である手術単独(術後無治療経過観察)とランダム化して比較する信頼性の高い臨床試験という。小腸腺がんは、早期発見が難しいがんで、同じ消化管原発の胃がんや大腸がんに比べ悪性度が高く、手術で完全に摘出できたとしても約半数は再発してしまうとされている。
また、CAPOX療法は、大腸がんや胃がんの再発予防における有効性が確認されているが、小腸腺がんにおいてはその希少性故に信頼性の高い臨床試験が実施されておらず、薬事承認がされている薬剤が存在していないという現状がある。今回の試験は、公的医療保険が適用される医療と、保険適用の対象外の治療を共に実施すること(混合診療)が例外的に認められる制度である「先進医療B」を適用することで、小腸腺がんに対する未承認薬を用いた医師主導型臨床試験として実施される。
同試験では、まず未承認薬や適応外薬の投与・管理体制が整っており、臨床研究中核病院でもある国立がん研究センター中央病院で開始され、その後、同センター東病院など全国のJCOG大腸がんグループ/肝胆膵グループ約20施設で順次登録開始となる予定。6年半の期間で、150名の患者が参加することを目標にしている。