セイコーインスツル(SII)は23日、同社の子会社で導体の製造・販売を行うエスアイアイ・セミコンダクタが、低消費電流で相対時間の時間管理に適し、システムの暗電流の削減に貢献する、水晶振動子内蔵・車載用コンビニエンスタイマ「S-35710M」の販売を開始したことを発表した。

水晶振動子内蔵・車載用コンビニエンスタイマ「S-35710M」

「S-35710M」は、各種システムスリープ期間中の時間管理やシステムの定期的な状態管理、各種機器の交換・寿命時期のアラーム管理などの用途に活用される、ICと水晶振動子を1つのパッケージに搭載した、2in1タイプのタイマ製品。

タイマ値と内部レジスタに書き込んだ値を比較し、値が一致したときに割り込み信号を出力する仕組みとなっている。また、割り込み時間設定直後に時間計測をスタートし、設定時間になると割り込み信号を出力するめざまし時計的な「ライトモード」と、時間計測スタートの後、コマンドにより経過した時間を読み出すストップウォッチ的な「リードモード」の2つのモードを搭載し、相対時間の柔軟な管理を可能にするという。

また、アラーム時間を1秒~194日まで1秒単位で設定できるため、エンジン停止後等における各種システムスリープ期間中の時間管理に適している。従来のマイコンのタイマ機能を使った場合は消費電流がmAオーダーとなるが、このタイマ(2in1)は超低消費電流(250nAtyp.)を実現しており、常時動作が必要な計時システムの低消費電力化に寄与し、システムの暗電流低減に貢献するという。

さらに、高温動作125℃、3温度テスト(低温、常温、高温)実施により、自動車等の過酷な環境での使用が可能となっている。

近年、EURO6(欧州)の燃料蒸発ガス規制により、排ガスの有害成分を浄化する触媒の活性化状況の時間管理、定期的な時間毎の燃料気化量(圧検出による漏れチェック)の管理、停車時の燃料気化量を計測するための時間計測など、エンジン停止中の定期的な状態管理の必要性が高まっている。また、EV(電気自動車)においては、バッテリーの状態監視を目的に、一定期間乗車していなかったことの警告、何日乗車していなかったかの時間パラメーター検出、スリープ時での充電に向けた深夜電力時間検出といった、未乗車やバッテリー未充電のブランク検出が要求される。

こうした要求に対し、これまでマイコンのタイマ機能で時間計測を行っていたが、消費電流の低減に課題があった。同タイマ(2in1)は、エンジン停止中の定期的な時間管理で、マイコン含めたシステムの暗電流削減に貢献できると説明している。