生物の「5大大量絶滅」のうち、4億4,500万年~4億4,300万年前に起きた最初の絶滅は、火山の大噴火で引き起こされた寒冷化が原因だったとみられる、と東北大学と米アマースト大学の研究グループが11日発表した。地球上では多様な生物の大絶滅は5回あったとされているが、このうち最初の原因ははっきりしていなかった。興味深い研究成果は米地質学会誌電子版に掲載された。
地質時代に起きた5大大量絶滅は「ビッグファイブ」とも呼ばれている。最後の絶滅は約6,600万年前の白亜紀末に起きて恐竜が大量絶滅したことで知られている。この原因については隕石(いんせき)衝突説が最有力になっている。3回目と4回目の大絶滅時にも大噴火があったとされ、原因は大火山噴火説が有力。しかし、4億4,500万年~4億4,300万年前のオルドビス紀末に起き、三葉虫やサンゴ類などの海洋生物が大量に絶滅した最初の大絶滅の原因については、2回目の約3億7,400万年前の大絶滅原因とともに未解明だった。
東北大学大学院理学研究科の海保邦夫(かいほ くにお)教授と米アマースト大学のデイビッド・ジョーンズ博士らは、中国と米国にあって最初の大絶滅の記録を残すオルドビス紀末の地層から高濃度の水銀を採取して分析した。
オルドビス紀と異なる時代の3回の大噴火でも高濃度の水銀が見つかっており、中国と米国で採取された水銀も火山の大噴火により地下のマントルに含まれていたものが空高く放出されて世界中に広がり堆積したと考えられたという。
これらのことから研究グループは、オルドビス紀末の大噴火で水銀とともに二酸化硫黄ガスが大量に放出されて成層圏で硫酸に変化。この硫酸が浮遊微粒子(エアロゾル)になって太陽光を遮断し、寒冷化して大量絶滅に至ったーというシナリオを導き出した。
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