大日本印刷(DNP)は21日、食品などの包装用の次世代フィルムとして、直線的な開封性やシール性、耐熱性にを持つ「DNP直進開封シーラント IL-CUT」を開発したことを発表した。これを包装材に使用することで、レトルト食品用のほか、テトラ型などの特殊な形状でも、ハサミを使わず手で綺麗に開封できる。

「DNP直進開封シーラント IL-CUT」と一般的なレトルト食品用CPPの比較

現在用いられている包装材の多くは、異なる性能を持ったフィルムを2~3層に貼り合わせて、内容物保護などの高い性能を持たせている。従来は表層のフィルムを引き伸ばすことで直線的に開封できる機能を持たせていたが、包装材では厚みがあり、シール機能を持った最内層のシーラントフィルムの影響でまっすぐに開封しにくいことがあった。

また、開封性を向上させるためにシーラントフィルムを延伸するとフィルムの融点が上がってしまい、袋型に加工する工程や内容物を充填した後で封をする工程などでより高温での処理が必要となり、表層のフィルムが溶けてしまうといった課題があった。

このような課題に対して、同社はシーラントフィルムの延伸後もフィルムの融点を下げる工夫を施すことによって、従来と変わらないシール性と耐熱性を確保し、直線的な開封性にも優れた「DNP直進開封シーラント IL-CUT」を開発した。135℃程度の熱にも耐えられるため、レトルト食品の高温殺菌にも対応可能となっている。同製品は、3月28日に発売された江崎グリコのスナック菓子「プッチーザ」のパッケージに採用された。

江崎グリコのスナック菓子「プッチーザ」のパッケージに「DNP直進開封シーラント IL-CUT」が使われている

なお、同社は「DNP直進開封シーラント IL-CUT」を食品、医薬品、日用雑貨業界などに向けて販売し、2020年度に10億円の売上を目指すということだ。