OKIグループの信頼性評価と環境保全の技術サービスを展開するOKIエンジニアリング(OEG)は3月21日、需要が急伸している車載電子機器・装置の電磁波影響を調べるEMC試験サービスに対し、試験施設を倍増させることを目的に、埼玉県本庄市の本庄テクノセンター内に「第三・第四車載電波暗室」を新設し、4月1日より稼働させることを発表した。

車載機器市場では、電気自動車やプラグインハイブリッド車の普及に加え、自動運転技術の開発やIoT化など、エレクトロニクス化が急速に進んでいるが、そうした最新技術に対する信頼性評価を行うためには、車載関連技術のほかに情報関連技術、無線技術といった、従来の自動車になかった技術の評価も必要となるため、高度なスキルをもった技術者と、そうした最新技術に対応した試験設備を揃えた試験専門会社へ評価試験などを受託する頻度が高まっている。

OEGでは、そうしたカーエレクトロニクス化への対応に向け、1999年に「第一EMCセンター」を設立することでEMC試験事業を開始して以降、車載電子機器・装置のEMC試験需要への対応を目的に2007年に「第一車載電波暗室」、2012年に「第二車載電波暗室」を増設してきたほか、2016年にも大型機器の試験を可能とした「第二EMCセンター」を開設するなど、最新規格への対応とサービス受託量の拡大を進めてきたが、車載電子機器の比率が高まり、システムの複雑性が増すなどの背景から、試験サービスに対する需要が増大し続けてきており、既存設備の稼働状況は飽和状態が続いていたという。今回の設備投資は、そうした状態を解消することを目的に実施されるもので、これにより顧客に対し円滑な試験・サービスの提供が可能になると同社では説明している。

また、今回の設備投資では、新たに海外自動車メーカー規格に対応する磁界イミュニティ設備、供試体サイズが従来の1.5倍(0.62m×0.62m×0.49m)まで試験可能な大型GTEMセル試験機、車輌内に引き回されるハーネスに加わる電磁波を模擬した90Ωストリップライン試験設備の導入も実施するなど、車載電子機器・装置の試験対応範囲の拡大も図るとしており、これらの取り組みにより、顧客の試験待ち時間の短縮、ならびに高信頼性を確保するニーズに応えることが可能となると同社では説明している。

新設された車載電波暗室