国立情報学研究所(NII)は3月17日、コンテンツ科学研究系教授の越前功氏の研究チームが開発した指紋盗撮防止手法「BiometricJammer」の視覚的違和感を軽減して利便性をさらに向上した最新の改良手法を、3月20日~24日にドイツ・ハノーバーで開催される国際情報通信見本市「CeBIT 2017」で公開すると発表した。

越前教授の研究チームは2016年10月、デジタル一眼レフカメラで3mの距離から撮影した指の画像から指紋認証に必要な指紋情報の抽出が可能であることを示した上で、このような抽出を防止するために指紋盗撮防止手法「BiometricJammer」を提案。

これは、指紋の特徴点の検出を妨害するように考えられた模様(ジャミングパターン)をステンシルシートを使って指先に転写する手法で、ジャミングパターンを装着した指先の画像から指紋情報の抽出を防ぐことができる一方、ジャミングパターンを装着したままでも接触式の指紋センサーは正常に指紋を認識するという。

「CeBIT2017」には、ジャミングパターンと装着方法を改良した最新の手法が出展される。これまでの幾何学的なパターンに代わり、疑似指紋パターンをジャミングパターンに用いることで装着した時の視覚的な違和感を低減するとともに、転写時にベース素材の塗布を不要として、より簡便な装着を実現したという。

改良した手法でも従来と同様、撮影された画像から指紋を認識することを不能にしながら、接触式の指紋センサーでは正常に指紋が認識されるとしている。

「CeBIT 2017」に出展する最新の改良手法と従来手法の比較。従来手法の幾何学的なパターン(写真左下)に代えて改良手法では疑似指紋パターン(同 左上)を使用 資料:国立情報学研究所