東京大学、リコー、ブルーイノベーションは15日、障害物を自動で回避できる小型無人航空機(ドローン)の自動飛行システムを共同開発したことを発表した。

このたび開発されたのは、非全地球測位システム(GPS)環境下でも、障害物を自動で回避できる自動飛行小型無人航空機(ドローン)システム。

ドローンが自己位置を把握するには通常はGPSが用いられるが、橋の下やトンネルの構造物の点検、あるいは屋内や建物付近での警備や物流といった用途ではGPS信号の受信が不安定となり、測位の誤差が大きく正確な飛行ができず墜落の危険性があった。さらに、経路上に予期せぬ障害物がある場合は避けられないという課題もあり、自動飛行の実現は困難であった。

同研究グループが2016年3月16日に飛行試験に成功したドローンでは、IMUセンサーと3Dビジョンシステムが融合することで、非GPS環境下でも自己位置推定を行い、自動飛行が可能となっている。同ドローンには、東京大学が開発した安定した姿勢制御が可能なドローンシステムに、リコーが開発した3Dビジョンシステムが搭載され、移動推定をすることにより自己位置推定が可能な超広角ステレオカメラによって、非GPS環境下でも安定した自動飛行を可能にしている。

そして今回、超広角ステレオカメラの移動推定に加え、飛行している経路の3次元地図の生成を同時に行うことで、予定飛行経路に出現した障害物を検出し、ドローンが障害物を自動的に回避しながら自動飛行することに成功したという。

3Dビジョンシステムによるドローンの障害物自動回避のイメージ

今回の開発により、危険を伴う高所や橋の下、トンネルの中の点検などにおいても、障害物を自動回避しながら自動飛行するドローンによって、こうした危険な作業現場での安全な精密点検が可能となり、今後のドローンの社会的有効利用に拍車がかかることが期待される。