FDKと富士通研究所は2月27日、全固体リチウムイオン電池の正極材料として、高エネルギー密度を有する「ピロリン酸コバルトリチウム(Li2CoP2O7)」を開発したと発表した。

安全性の高い次世代電池として期待される全固体電池だが、電池が有するエネルギーは電圧と容量の積で規定されるため、高いエネルギー密度を有する電池の実現には、高電位かつ高容量な電極材料の開発が必要になっていた。

そこで研究グループは今回、FDKのCAE(Computer Aided Engineering)技術、および富士通研究所の材料形成技術を活用することで、既存のリチウムイオン電池の正極材料に比べて、約1.5倍のエネルギー密度を有する全固体電池の正極材料「ピロリン酸コバルトリチウム」を開発。同材料を全固体電池に採用した場合、材料計算から既存のリチウムイオン電池の正極材料に比べて約2倍のエネルギー密度で動作する能力をもつことを導き出したとする。

なお、2社は今後、さらなる同材料の能力の引き上げを図っていくとするほか、IoT、ウェアラブル、モバイルなどの機器に向けて、早期の市場投入を目指して開発を継続していくとしている。

開発品と既存材料とのエネルギー密度比較。開発品のLi2CoP2O7が860Wh/kg、既存材料のLiFePO4が530Wh/kg(実用値)、既存材料のLiCoO2が570Wh/kg(実用値)