NECソリューションイノベータは、深度を測定可能な市販の3Dセンサ「Kinect v2」を用いて、歩く姿勢などを手軽に測定できる「NEC 歩行姿勢測定システム」を開発し、1月31日より提供を開始すると発表した。

同システムはアシックス スポーツ工学研究所と共同で開発したもので、Kinect V2に向かって6mほど歩くだけ(幅は1m必要)で、「歩行速度」「歩幅」「胸腰部の上下動」「足の上がり角度」といった36項目を測定。身体全体の歩行姿勢を年齢と性別に応じた基準で点数化し、「速度年齢」「バランス年齢」「姿勢年齢」から構成される歩行年齢を算出する。ちなみに歩行年齢は、19~90歳までの測定結果をもとにした基準データベースと実際の歩行データを比較する形で算出されるという。

Kinect v2を用いた歩行姿勢測定システムのデモの様子。非常に簡便で、6mの歩行路さえ確保できれば、どこでも測定が可能

また、測定結果は「身体の軸」「腕振り」「足の運び」「左右差」「ふらつき」「歩く速さ」の6分野を各5段階評価で表示することで、歩行のバランスを見ることが可能。前回測定時のデータと比較することで、どれくらい歩行に変化が生じているか、といったリハビリなどでの用途にも利用できるという。

実際、同社によると、理学療法士や柔道整復師などからのヒアリングでは、歩行といった行為はトレーニング効果による変化が実感されにくい、といった話を多数聞いており、そうした課題の解決に向け、簡便かつ包括的に歩行能力を測定・定量評価可能なシステムを開発するに至ったと、開発の背景を説明している。

システムのハードウェア構成としては、Kinect v2のほか、それを接続するPC(動作推奨環境はWindows 10 64ビット、Intel Core i7 3.1GHz以上、DirectX 11対応GPU、4GB以上のRAM、USB 3.0ポート)があれば良く、オプションとしてKinect v2を設置するための三脚や、測定結果の印刷のためのプリンタを必要とする程度と簡素な仕組みとなっている。また、測定も測定者1人で計測・評価が可能なほか、自動測定モードも用意しているため、被測定者1人でも計測・評価が可能だという。

歩行姿勢測定システムの概要

システムのライセンス料は端末1台につき年間ライセンスで15万円(税別、1年間の保守サービス含む)、無期限ライセンスで40万円(税別、半年の保守サービス含む)となっているが、別途、上記のハードウェアを用意する必要があることに注意が必要(無償貸し出し版も用意しているが、数に限りがあるので、問い合わせが必要とのこと)。無期限ライセンスについては、ライセンスあたり2万4000円(税別)で半年分の保守サービスを追加することも可能となっている。今後、2年間で730ライセンスの導入を目指すとする。

なお、同社では健康増進、特に高齢者の健康維持などでの活用を現在考えており、すでにアシックスが独自の運動プログラム「DUAL SPARK」を利用者に個別に提供する、機能訓練特化型デイサービス施設「Tryus」にて利用が始まっているという。また、将来的には歩行の様子から認知症や生活習慣病といった病気の予測につなげたり、理学療法士などが有している改善アドバイスといった知見のシステム化などを進め、機能の拡充と向上を図っていきたいとしている。

実際の測定結果の様子。歩行年齢は実年齢と性別を入力することで補正がかかる。点数は各項目1-5点で表示され、点数が高いほうが良い。また、過去のデータと比較して、どの程度の変化があったか、といったことも見える化された形で知ることができる