米Qualcommは1月3日(米国時間)、モバイル向けSoC「Snapdragon」の新たなフラッグシップ「Snapdragon 835 processor with X16 LTE」を発表した。製造プロセスに10nm FinFETを採用して性能と消費電力効率を高めた。スマートフォン、VR/ARヘッドマウントディスプレイ、IPカメラ、タブレット、モバイルPCなど、幅広いデバイスが対象になる。昨年12月にMicrosoftが発表したWin32アプリケーションが動作するARM向けWindows 10もサポートする。すでに製造が始まっており、2017年前半に搭載デバイスが登場する見通し。

10nm FinFETプロセス製造によって、パッケージサイズが前世代から35%小さくなり、消費電力が25%少なくなった。CPUは「Kryo 280 」、パフォーマンスを重視した最大2.45GHz動作の4つのコアと、効率性を重視した最大1.9GHz動作の4つのコアで構成される。メモリーはデュアルチャネルLP DDR4x(1866MHz)。DSPは「Hexagon 682」だ。処理性能の向上と共に、機械学習向けのTensorFlowやイメージ処理のHalideフレームワークのサポートが追加された。

GPUは「Adreno 540」。OpenGL ES 3.2、OpenCL 2.0、Vulkan、DirectX 12に対応。3Dグラフィックスのレンダリング性能が最大25%向上、4K Ultra HD Premium(30fps) ビデオをサポートする。Snapdragon 835においてQualcommが強くアピールしているのが、次世代のVR/ARやGoogleのモバイルVRプラットフォーム「Daydream」の要求を満たす設計だ。発熱や消費電力を抑えながら効率的にパフォーマンスを引き出し、10-bitディスプレイの色域、オブジェクト/シーンベースの3Dオーディオ、6DoFのモーショントラッキングなどを実現する。

最新の接続性を実現するのも大きな特徴だ。1Gbpsに対応するLTEモデムであるX16 LTE、2x2 802.11ac Wave 2 Wi-Fi、Bluetooth 5が統合されており、オプションで802.11adをサポートする。

ISP(イメージシグナルプロセッサ)には、最大32メガピクセルのシングルカメラまたは16メガピクセルのデュアルカメラが可能なデュアル14-bit ISPを備えた「Spectra 180」が採用されている。オーディオコーデック「Aqstic WCD9341」との組み合わせによって、32-bit/384kHzのハイレゾ音源やDSDのネイティブ再生に対応。また高音質Bluetoothコーデック「aptX」や上位版の「aptX HD」をサポートする。

デバイスの利用体験に大きく影響するセキュリティと充電機能も向上している。「Haven」プラットフォームを通じて、指紋や顔によるバイオメトリックス認証、ハードウエアベースのユーザー認証、デバイス認証など、モバイルペイメントや企業で求められるセキュリティを提供する。高速充電技術はQuick Charge 4に対応している。Quick Charge 3.0よりも最大20%高速で、最大30%効率的な充電が可能になる。