近畿日本ツーリストやクラブツーリズムなどを傘下に持つKNT-CTホールディングスとumamiは11月17日、訪日観光客に向けたサービス拡大を推進する事業の一環として、AI(人工知能)を利用する多言語チャット・サービス事業を2017年1月に開始すると発表した。

多言語チャット・サービスのイメージ

新事業は、観光関連分野でネットワークを持つKNT-CTホールディングスと、チャットによる多言語でのコンシェルジュ・サービス(問合せ対応)の提供するumamiの、双方の得意とする分野を活かした協業となる。具体的には、以下の2つの展開を予定している。

  • umamiが持つAIとチャット・オペレータを組み合わせた多言語チャット・サービスを観光関連分野に特化して開発、KNT-CTホールディングスの観光関連分野のネットワークを活用した観光事業者へ提供

  • 多言語チャット・サービスを新たに開発する訪日観光客向けアプリ「YOKOSOアプリ」(仮称、2017年1月公開予定)に搭載し、訪日観光客が直接利用できるよう案内

観光事業者を対象とする展開では、AIを利用する多言語チャット・サービスを、近畿日本ツーリストが宿泊機関や交通機関などの観光事業者、地方自治体に提供していく。観光事業者のWebサイトにチャットボックス(チャットのプログラム)を追加すると、訪日外国人からの問い合わせに、観光事業者特化型AIとチャットオペレータが多言語で応対する。

施設案内や周辺観光案内に加え、ツアー/レストラン/アクティビティなどを紹介するコンシェルジュ・サービスを提供し、訪日外国人旅行客(インバウンド)の「旅マエ」(旅行出発前)需要を取り込むとともに、問い合わせに関する観光事業者の人件費や労力を削減し、CS向上を図るソリューションサービスとして展開する。

同サービスの対応言語は英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、日本語。AIは24時間対応だが、オペレータは8時から22時の対応となり、料金は初期導入費用が無料、月額サービス料は従量課金で2980円からの4プラン、サービス開始時期は2017年2月を予定している。

実用化に向けて、訪日外国人が多く利用しているカプセルホテルやホステル、ハイヤーなどの観光事業者から2017年1月以降に協力を受け、訪日観光に特化した会話データならびにユースケースの蓄積のため、実証実験を開始する。

協力する事業者は、ナインアワーズ(カプセルホテル、京都/成田空港/仙台)、Wise Owl Hostel TOKYO(ホステル、東京)、大成観光交通(日の丸リムジンのグループ会社でハイヤー、東京)。

一方、訪日外国人向けの展開ではAI利用の多言語チャット・サービスを組み込んだYOKOSOアプリを開発し、KNT-CTホールディングスが販売する訪日旅行である「YOKOSO Japan Tour」や日本文化を体験するアクティビティ、宿泊施設などを案内。さらに、チャットを利用し、お勧めツアーの紹介や訪日外国人からの問い合わせに対応することで、旅マエおよび「旅ナカ」(旅行中)の需要に対応していく考えだ。

YOKOSOアプリの画面イメージ