クラウド型の財務管理ソリューション「Kryiba Enterprise」の開発・提供を行っているキリバ・ジャパンは15日、企業の財務部門を対象に実施した「事業のグローバル化に伴う財務・リスク管理体制の実態と課題」に関する調査結果を公開した。

キリバジャパン 代表取締役社長 桑野祐一郎氏

国外の財務管理、日本企業は一様に不安視

この調査結果は、同社が10月31日づけでグローバル財務業務の高度化を推進する人材を育成するための教育支援プログラムへの取り組みを発表した裏付けともいえる内容となっている。

同社代表取締役社長・桑野祐一郎氏は、日本企業のCFOとミーティングを重ねるなかで、資金の有効活用とリスク管理の必要性はどの企業でも重要視されていることを把握した。だが、対話を進めていくと「何をどこから初めていいかが分からない」、「社内に専門知識をもつ人材がいない」、「社外に十分な育成プログラムがない」などといった、各社CFOの抱える不安要素が浮かび上がってきたという。

「事業のグローバル化に伴う財務・リスク管理体制の実態と課題」に関する調査の対象者

また、CFOは人材の獲得と育成に興味を持っているが、育成の方法はOJTに8割の票が集まったことを指摘。桑野氏は「何をすべきか理解した上で、OJTを選択されているか疑問がある」とし、グローバルに財務業務を実行できる人材が不足している現状で、人材育成に教育カリキュラムなどを活用せず、OJTだけで補うのは難しいと語った。

ヒト不足をシステムで補完

続いて、PwCあらた有限責任監査法人 財務報告アドバイザリー部 パートナー 福永健司氏が、「事業のグローバル化に伴う財務・リスク管理体制の実態と課題」の調査結果を解説した。

PwCあらた有限責任監査法人 財務報告アドバイザリー部 パートナー 福永健司氏

「CFOが対応すべき課題」についての質問項目では、先述の「グローバル化をリードする人材の獲得・育成」が最多数になったほか、ほぼ同数で「経営資源の最適分配と収益性の向上」に票が集まった。収益性、企業価値の向上を目指すために、ガバナンスの見直しやキャッシュマネジメント、オペレーションの効率化、情報を一カ所に集約しての経営判断を行っていく「べき」であると、各社とも認識しているという。

だが、目下CFOたちが獲得したがっている「グローバルでファイナンスを高度化していくための人材」は不足している。国内での財務管理は銀行のサポートにより最適化が進んでおり、この部分は「欧米よりもむしろ進んでいる」(福永氏)とのこと。だが、グローバルに視点を移すと、大企業であってもメール・Excelファイルでの管理となっており、最適化はあまり進んでいないのが実態だという。

「事業のグローバル化に伴う財務・リスク管理体制の実態と課題」に関する調査の一部

そこで、「Kryiba Enterprise」のようなクラウドの財務管理ソリューションで各国とも同一インタフェースのシステムを導入し、分散しているデータを本社や金融統括会社に集約した上でシステムに備わった機能を活用するのは、ある意味では他社の先進事例を活用して経営に活かしていくことにつながる。また、同一システムをグローバルに活用することで、グローバルな視点での財務管理が可能な他国の人材から、国内の社員が指導を受けることも可能になる。こうした意味で、人材不足という課題をシステムで補完していくことが可能ではないかとコメントした。

なお、今後は財務管理人材の育成を目的に、初心者向けの「今さら聞けない財務セミナー」シリーズ(2017年1月から)のほか、「企業におけるCFO・財務管理のあり方と人材育成」セミナー(2017年2月開催予定)を開催する。また、財務用語集をオンライン・書籍で無償提供するほか、2017年第一四半期にはキリバ製品のスターターパッケージを提供予定ということだ。