NTTドコモは28日、2016年度 第2四半期決算説明会を開催した。「ガイドラインに沿わない不適正な端末購入補助が行われている」として10月7日、KDDI、ソフトバンクとともに総務大臣名で"厳重注意"を受けた件について、NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は「厳粛に受け止める」と繰り返した。

NTTドコモは28日、2016年度 第2四半期決算説明会を開催。NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏が記者団の質問に回答した

指導を厳粛に受け止める

ドコモが厳重注意されたのは、同社が提供していたdカードGOLD会員限定の「ケータイ購入ご優待券」。吉澤社長は「私自身、総務省から文書を受け取った。ドコモではGOLDに申し込んで頂き、初期費用もかなり支払っていただいたお客様などを対象に、2012年頃から"感謝"の意味でクーポンを贈っていた。ただ、どのようなクーポンであろうとも、使われている用途は端末の購入補助。総務省の指導は、厳粛に受け止める」と話した。

すでに発行済みのクーポンは、1万円、2万円分であればdポイントに交換する。また、5,000円のクーポンであれば対象機種を絞り込み、総務省の指摘にあたらないよう対応したという。改めて「スマートフォンの端末購入補助に当たるものは、ガイドラインに沿って厳格に運用されるよう対応していく」との考えを示した。

ドコモのホームページから。10月7日に総務省の指導が入ったことを受け、「ケータイ購入ご優待券」の利用方法が改定された

ガイドラインの抜け道「おかしい」

総務省のガイドラインでは、高価な端末の大幅な値引きを禁じている。その一方で、安価な端末は規制の対象とされていない。具体的な基準としては、3万円以下のものなら対象外とされている。

これについて吉澤社長は「本来1万円、2万円、3万円といった絶対額で規制するのは難しい。1万円なら良いだろうというのは、規制の本来の趣旨から考えるとおかしい。そういった議論は、色々な場所でしていかなくてはいけない」とコメント。

総務省で10月7日に行われたフォローアップ会合で、ドコモは「ガイドラインには抜け道があるので塞ぐ必要がある」と意見している。これについて「端末購入の補助を目的としない販売奨励金を出して、結局それを端末に充てて安くすることがある。そうした方法がまかり通る抜け道は、なくした方が良いというのが我々の主張」と補足説明した。

そして「実際に我々がメーカーから購入する端末の価格は、それなりに高い。それを1万円で売るということについては、もう少し是正ができる。ドコモとしては検討していく」と回答した。

"是正"とは何か。これは筆者の私見だが、メーカーから買った端末をドコモが無理をして安く売っている、この部分についてもう少し調整できるのではないか。そのような意味だと思われる。

総務省では「実質0円やキャッシュバックが利用者間の不公平を招く。その原資となる販売奨励金が利用料金の高止まりにつながり、家計を圧迫している。MVNOの参入も妨げている」と考えている。一方でキャリアとしては「端末代金が高いと売れない、売れないと自社だけでなく製造メーカーも減収となる。MVNOに顧客が流れる懸念もある。ひいては利用料金を上げざるを得ない状況にもなりかねない」との思いがある。こうした背景から、昨秋より総務省とキャリアの間で議論が重ねられている。

SIMロック解除までの適正期間について

同じく総務省のフォローアップ会合では、ソフトバンクはユーザーの利便性向上を狙い、(現行では端末購入から180日とされている)SIMロックを解除できるまでの期間を短縮したいとしている。

これについて吉澤社長は「すでにSIMロックを解除したことのあるユーザーなら、(そこから6カ月以上が経過していれば)新たに購入する機種は購入日にSIMロックを解除できる。MVNOサービスを利用しているユーザーは、ロックの有無に関係なくドコモの端末を利用できる」とした。

SIMロック解除までの期間については、「単純に180日を90日に短縮すれば良いのか、と言われるとなかなか難しい」と慎重な構え。「例えば不正利用の恐れもある。SIMロックを解除して、逃げてしまうお客様も想定できる。状況を見ながら、どういったところに落とし込むべきか、我々も検討を続けていきたい」と展望を語った。