ドローンベンチャー企業のドローン・ジャパンは10月11日、コメ農家をはじめとする田畑生産者に向けて、圃場の生育状態を可視化する「DJアグリサービス」を2017年4月より開始すると発表した。

肥料や農薬の散布、生育状況の把握など、農業はドローンの活用が大きく見込まれる分野。「DJアグリサービス」ではドローンを用いた画像センシングを行い、収集したデータと航行データを管理・解析する。具体的には使用するドローンには目に見えない波長もセンシングできるマルチスペクトラムセンサーを搭載しており、これにより収集したデータから植生の分布状況や活性度を示すNDVI値などを算出する。これを生産者・生産契約者に向けてレポートとして提供したり、農業日誌などの農業アプリ事業者に生育状況を可視化したデータとして提供する。

ドローンによるデータの取得から解析、可視化まで提供する

可視化の例。生育状況の違いによって色ムラが出る

2017年9月までは全国の田畑100圃場分限定で、早期導入プログラムを実施し、栽培期間1Haあたり4500円の特別価格でサービスを提供。1契約単位は5Ha、年間20回の航行、近隣地域5件以上の契約が必要となる。将来的にはAI技術を活用して、収穫適期を予想することで収量の向上に貢献することを目指すほか、水田の中ほどまでドローンが水面を自動で移動し水温を計測する「アイガモドローン」の運用も予定している。

「DJアグリサービス」で使用するドローン(左)と「アイガモドローン」のプロトタイプ

都内で開催された発表会に登壇したドローン・ジャパンの勝俣喜一朗 代表取締役社長は「特に高齢化、後継者問題においては農業家の知見をいかにデジタル化するかが喫緊の課題」とし、国内の農家が直面する問題に対してドローンが有効な解決策になりうると説明した。

ドローン・ジャパンのドローン・ジャパンの勝俣喜一朗 代表取締役社長

また勝俣社長は、ドローンの活用を通じて農業の効率化を図るだけでなく、作物により価値を付加するための取り組みとして、DJアグリサービスの開発に協力した篤農家が作ったコメをドローン・ジャパンが買い取り、「ドローン米」としてパック化し、2017年3月より国内外で販売すると発表。「ドローン米」はラベルにQRコードが記載されており、それを読み取ることでドローンによる圃場の空撮風景を見せる仕組みで、同社長は「田畑の土と水の状態、作物の生育状況に加えて、特に無農薬農法を採用する篤農家をはじめとする農家の『思い』も可視化したい」とコメントした。

こちらが「ドローン米」。パック化したのは生米に比べて輸出時に関税が安いことと、炊きたての風味が味わえるためとのこと