がんと診断されたときの進行度(ステージ)は部位により大きな差があることを、国立がん研究センターが全国の主ながん治療病院の大規模データを集計、分析して明らかにした。膵臓(すいぞう)がんと診断された患者の約4割は既に他の臓器に転移していた一方、子宮頚(けい)部がんなどは早期に見つかる割合が高かった。発見時にステージが進んでいるのは、いずれも病状が現れにくいため早期発見が難しいがんで、早期発見研究の重要性を示した。分析結果は26日公表された。
国立がん研究センターは、がん治療の中核となる全国421の「がん診療連携拠点病院」などで2014年に受診した約67万人分の診療データを集計、分析した。今回の分析の柱として、がん発見時のステージ(「0~4期」)が部位によってどの程度差があるかを詳しく調べた。
ステージの判定は、がんのひろがりや、リンパ節への転移の有無、他の臓器への転移の有無などを診断して決められる。「TNM分類」を基本とした基準によると、ステージ0期はがん細胞が粘膜内(上皮細胞内)にとどまってリンパ節転移がない状態、1期はがん細胞が少し広がっているが筋肉の層にとどまっている状態、2期はリンパ節転移はまだないががん細胞が筋肉層を超えて浸潤した状態、3期はリンパ節転移がみられる状態、4期はがん細胞が原発部位を超えて多臓器に転移した状態、とされている。
今回の分析では、膵臓がんは発見時に既にステージ4期だった割合が43%で最も多く次いで2期の27%。3期も13%だった。肺がんは1期が最も多く40%だが4期も32%と多く、かならずしも早期発見されていない実態が分かった。
一方、子宮頸部がんは0期が61%、ぼうこうがんも0期38%、前立腺、甲状腺のがんはいずれも0~1期で見つかる割合が約半数だった。これらの部位については検診方法の進歩や定期健診の浸透などによる比較的早い段階での発見につながったとみられている。
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