NECは8月16日、インテルと共同で従来は専用機で実現されていた無線基地局の機能を汎用サーバ上のソフトウェアで実現する「NFV C-RAN(Cloud-RAN)ソリューション」を開発したと発表した。

同ソリューションは、NFV(Network Functions Virtualization:ネットワーク機能の仮想化)で実現された無線基地局のデータ処理を行うCU(Central Unit:集約基地局)と、電波の送受信を行うDU(Distributed Unit:リモート局)で構成されている。

CUが複数のDUを集中制御することで、無線ネットワークの効率的な運用が可能なほか、従来CUが行っていた処理の一部をDUが行えるようにすることで、CUとDUでやりとりするデータを10分の1以下に削減できるという。このため、CUとDUを結ぶネットワークが小容量でも従来と同水準の通信性能を実現し、5Gに求められる高速大容量・超低遅延のネットワークを低コストで構築可能だという。

同ソリューションは、携帯電話やタブレット、IoT端末の接続制御などを行う基地局のレイヤー2以上の上位処理部分の機能をソフトウェアで実現し、インテルのマルチコアプロセッサーを搭載した汎用サーバ上に集中化。これにより、通信容量の変動や利用者、サービス事業者の要求にソフトウェアの設定変更で柔軟に対応可能なため、設備投資の効率化に貢献するとしている。

また、CUが広範囲に分散する複数のDUを集中制御するため、通信容量に応じてDUの電波の送受信を適切に制御が可能。そのため、通信が少ない場所ではDUの稼働を抑え、通信が集中している場所では多くのDUを稼働させることで、省電力化や通信性能向上を実現するという。

さらに、従来のCloud-RANソリューションは、CUとDUを結ぶネットワークの接続インタフェースにCPRI(Common Public Radio interface:基地局内のインタフェースの標準規格)を採用。CPRIは、データ伝送時にデータの加工が必要なため、データ容量の増大や規格で定められている厳しい遅延許容値が課題となっていた。

同ソリューションでは、レイヤー2の上位以上の機能をCUに、基地局の無線の制御などを行うレイヤー2の下位以下の機能をDUに配備しており、DUに処理能力の一部を配備することで通信の遅延にも適切に対応可能なため、遅延許容値を緩和できる。そのため、規格が定める遅延許容値が緩いEthernetでCUとDUを接続することが可能となった。

CPRIと比較するとEthernetはデータ送信時の加工を削減が可能だという。これらにより、両社の検証実験では、従来の10分の1以下の伝送容量でCUとDUの通信を実現。CUとDUを結ぶネットワークが小容量でも従来と同水準の通信性能を実現するため、ネットワークへの設備投資を低減でき、5Gに求められる高速大容量・超低遅延のネットワークを低コストで実現できるという。

NECはSDN(Software Defined Networking:ソフトウェア定義型ネットワーク)/NFVソリューションを他社に先駆けて商用化し、今後はNFV C-RANソリューションをはじめとしたSDN/NFVソリューションと、仮想化されたネットワーク機能を一元管理するソフトウェアである「オーケストレーション」の連携を実現することで、5Gに必要な柔軟で高効率な設備運用などに貢献していく方針だ。