大日本印刷(DNP)は8月10日、オランダのGemalto(ジェムアルト)とIoTのセキュリティ分野で協業すると発表した。金融・通信・重要インフラ・製造・医療などの分野を中心に両社で開発した製品やサービスを提供し、2020年度に約35億円の売上を見込む。

両社の協業のイメージ

DNPは、1980年代からICカードのソフトウェア開発や製造・発行および認証サービスなどを手がけている。これらの実績を通じて培った技術やノウハウを生かし、高いセキュリティ性を確保したIoT環境を実現するゲートウェイ端末や関連アプリケーションなどの開発を進めている。

一方、ジェムアルトはデジタル・セキュリティ分野に強みを持ち、金融・政府系・モバイル・交通・M2M(機器間通信)などの分野において、デジタルセキュリティソリューションを企業や政府、そのユーザーに向けてグローバルに展開している。

今回の提携により、両社の技術やノウハウを利用することで汎用性のある高セキュリティなIoT環境の実現を目指す。一環として、ICカード技術をIoT向けに応用するセキュアなIoTプラットフォームを開発する。

具体的には、IoT用のデバイスとサーバ間の通信においてインターネットで標準的に利用しているプロトコルのTLS(Transport Layer Security)を用いる。TLSの相互認証に用いる暗号鍵やデジタル証明書を、耐タンパー性(内部構造などの解析しにくさ)が高いSAM(Secure Application Module)に格納することで、不正アクセスや改ざんを防止し、安全にデバイスとサーバ間の相互認証を行うことができる。

また、暗号鍵やデジタル証明書、アプリケーションなどをセキュアに配信するサービスも行う。同プラットフォームにより、IoT用のデバイスと通信のセキュリティを向上させ、安心・安全なIoTのエコシステムの実現が可能になるという。今後、両社は国内外で同プラットフォームを用いた実証実験・標準化活動・営業活動などを共同で推進していく方針だ。