米Yahoo!は7月25日(現地時間)、インターネット関連など同社の主力事業を米通信大手Verizon Communicationsに売却することで合意したと発表した。Verizonは48億3000万ドルを現金で支払う。取り引きはYahoo!株主と規制当局の承認を必要としており、順調に進めば2017年第1四半期に完了する。
Yahoo!はインターネット黎明期にスタンフォード大学の学生だったJerry Yang氏とDavid Filo氏が設立し、検索サービスとポータルサービスでWeb企業の草分けとして成長した。しかし、Googleにシェアを奪われ始めてから業績が悪化。2012年にCEOに就任したMarissa Mayer氏がTumblrを買収するなど立て直しを図ったのものの、業績不振から抜け出せず、株主の圧力が強まる中、中核事業の売却を検討していた。同社が18日に発表した2016年第2四半期(4~6月)決算は、売上高13億ドルで前年同期比5%増だったが、Tumblrに関するのれんの減損費用3億9500万ドルを計上、純損失が前年同期の2200万ドルから4億4000万ドルに拡大していた。
Verizonへの売却対象に、Yahoo!が保有するAlibaba Group HoldingsやYahoo! Japanの株式、非中核特許などは含まれない。Verizon傘下でYahoo!ブランドは残るが、シリコンバレーのWebスタートアップの草分けだったYahoo!は社名を変更し、投資企業として再スタートすることになる。
米AT&Tと米モバイル通信キャリアのトップを争うVerizonは、インターネットの主流がデスクトップからモバイルへと移ってきたことに応じてネットコンテンツ配信やオンライン広告に事業を拡大する戦略を進めてきた。昨年5月には約44億ドルでAOLを買収しており、Huffington Post、TechCrunch、Engadget、MAKERS、AOL.comといったメディアブランド、動画広告やリッチ広告を配信するONE by AOLなどプログラム型の広告プラットフォームを擁する。
Mayer氏は「Yahoo!とAOLはともにインターネットや電子メール、検索、リアルタイムメディアを普及させてきた。AOLやVerizonとの合流は、モバイルの拡大を新たなチャプターへと進ませる大きな力になる」と述べている。