「G20子どもの豊かさランキング」で日本は3位に

子ども支援の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは7月23日・24日、G20に国として参加している19カ国の子どもの豊かさを8つの分野ごとに比較し総合的に評価する「G20子どもの豊かさランキング(Child Prosperity Index)」を発表した。

報告書は2014年に続く2回目。今回の総合順位では、所得、雇用、ジェンダーの平等の分野でいずれも最も高い得点を得たドイツが前回同様に1位を獲得し、フランスが2位、日本が3位という結果になった。

前回の4位から順位をあげて3位となった日本は、G20の他の高所得国と比較して、子どもの死亡率や肥満率、若者の失業率、そして人口10万人あたりの殺人発生件数や交通事故死者数が低いことから、保健の分野で1位、雇用の分野で2位、安全の分野で3位という結果に。一方、環境の分野では自然保護区の割合が低いことや、国民一人あたりのCO2排出量が比較的多いことから平均以下の11位、所得については8位、ジェンダー平等は7位とふるわなかった。

以下、ランキングは4位オーストラリア、5位カナダ、6位イギリス、7位韓国、8位イタリア、9位アメリカ合衆国、10位トルコ、11位中国、12位ロシア、13位アルゼンチン、14位メキシコ、15位サウジアラビア、16位インドネシア、17位ブラジル、18位南アフリカ、19位インドと続く。

今回の報告書では、1位と2位のドイツやフランスよりも国民一人あたりのGDPが高いアメリカやサウジアラビアの総合順位がそれぞれ9位と15位であり、所得の高さが子どもの豊かさにつながっていないことが明らかになった。

「G20子どもの豊かさランキング」

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン政策提言スペシャリストの大野容子氏は「日本の高順位は、国民皆保険制度が整っていることや、安全性の高さが大きな要因です。ただし、注意が必要なのは、こうした国際比較における日本の優位性を、そのまま国内の状況にあてはめることができないということです。特に日本は、6人に一人の子どもが相対的貧困の状態にあり、ひとり親世帯の子どもの貧困率は、先進国で最悪の水準にあります。国内における格差の実態を把握し、子どもたちの貧困問題等の解決に向けた喫緊の取り組みが求められます」とコメントしている。

このランキングでは、保健(出生時の平均余命、子どもの死亡率、子どもの肥満率)、教育(就学年数、OECD学習到達度調査(PISA))、所得(国民一人あたりのGDP、所得分配の不平等度(ジニ係数))、安全(人口10万人あたりの殺人発生件数、人口10万人あたりの交通事故死者数)、雇用(若者の失業率、世界奴隷指数)、ジェンダー平等(UNDPジェンダー不平等指数)、インフラ(電力供給の安定性、安全な飲み水と衛生施設の利用)、環境(自然保護区の割合、大気汚染、国民一人あたりのCO2排出量)の8つの分野で比較し順位付けをもとに総合的に評価が行われているという。