日産自動車(日産)は7月13日、8月下旬の発売を予定している新型ミニバン「セレナ」に自動運転技術「プロパイロット」を搭載すると発表した。
日産は自動運転技術について2020年までの開発ロードマップを公表しており、2016年に高速道路上の単一レーンで安全な自動運転を可能とする技術を、2018年に高速道路上の複数レーンで危険回避や車線変更を自動で行う技術を、2020年には交差点を含む一般道でドライバーの操作介入なしに走行できる技術を導入するとしている。
今回の「プロパイロット」はロードマップにおける最初の技術「2016年に高速道路上の単一レーンで安全な自動運転を可能とする技術」にあたり、搭載されるのは新型セレナが初となる。
「プロパイロット」搭載車は、高速道路上の単一レーンにおいて、設定した車速(約30~100km/h)を上限に車間距離を自動的に保ったり、車線中央を走行するようにステアリング自動制御することが可能となる。これにより、渋滞走行や長時間の巡航走行におけるドライバーの負担を軽減するとしている。
具体的には、ステアリングに配置されたセットスイッチを押すことで機能が作動を開始し、同一車線内での追従走行、設定車速での定速走行、先行車の停車に合わせた停車、停止状態の保持、カーブでのステアリング操作などを自動で行う。
システムとしては、車両前方の高性能単眼カメラで前方車両との距離や車線内の自車位置を計測、カメラで取得した情報をベースにADAS ECUでスロットル、ステアリング、ブレーキなどを制御。日産の自動運転技術に加え、イスラエルのモービルアイ社による技術を活用した独自の画像解析技術により、前方車両や白線を瞬時に3次元把握し、精確な車両制御を実現している。この画像解析技術により、混みあった交通状況でも周囲の車両を正確に認識できるだけでなく、車線に割り込んできた車両も素早く検知し追従対象を切り替えることができる。また、舵角を高い分解能で検出できるため、凸凹な不正路や道路の傾きの影響を受けにくく、S字カーブでも膨らみのないライントレースを可能とする。
インターフェース面では7インチの大型画面上にシステムの状態をわかりやすく表示するほか、上述のように起動操作をにステアリングのスイッチで可能にするなどドライバーの使いやすさも工夫した。また、安全性をより高めるために、何らかの理由で「プロパイロット」では制御できない状況が発生したり、ドライバーの手がステアリングから離れたときなどにアラートを発する機能を搭載している。
「プロパイロット」は日産がこれまで培ってきた車線逸脱防止システム、アラウンドビューモニター、エマージェンシーブレーキなどの安全技術をベースに開発されており、「自動運転」というよりも「運転支援システム」の領域に位置する技術だといえる。しかし、同社の自動運転技術ロードマップにおけるマイルストーンであることは間違いなく、公道での自動運転に向けた開発が今のところ順調に進んでいる証だといえるだろう。