フォトシンスは7日、オフィス利用に特化した後付けスマートロック「Akerun Pro」を発表した。発売日は7月23日。月額制レンタルプランでの利用となり、利用料は9,500円(税別)。本稿では同日開催された発表会の様子をお届けする。

オフィス利用に特化した後付けスマートロック「Akerun Pro」(左:内側/右:外側)。本製品で新たにSuicaなどNFCカードに対応した

同製品は、同社のプロダクトであるスマートロック「Akerun」シリーズの新製品。既存製品の利用目的の約半数が「オフィスでの利用」であることを受けて、同用途に向けて開発された。同社の河瀬社長は、約50万円(同社調べ)かかる既存の電子錠の導入に比較し安価に導入できるため、中小企業にフィットすると見込んでいると語った。

フォトシンス 代表取締役社長 河瀬航大氏

Akerunユーザーの用途の分布。オフィスではエントランスのほか、書庫や役員室などでも用いられるという

現在活用されているIoTにまつわる調査。スマートロックはスマートホームをわずかに上回り、最も高い数値となっている

通信に利用するのはConnectivity Bluetooth Low Energy(Bluetooth 4.0)。製品にはサムターン部にとりつける本体のほか、ドアセンサー、スペーサー、NFCカードリーダー、リチウム乾電池(CR123A)が付属する。

新機能として、既存製品で開閉に用いられていたスマートフォンやスマートウォッチ、PCなどの電子デバイスのほか、SuicaをはじめとしたNFCカードに対応。クラウド経由でNFCカードのIDなどを管理するという。

ハードウェアの面では、モーターの変更をはじめ駆動部の設計を見直し、従来製品の初代Akerunと比較した場合の解錠の速度は15倍に改善。また、専用乾電池の採用などにより電池の持続時間が2倍になっているとのこと。

筐体をよりスリムに

電池の持ちは同社比2倍になった

また、デザインに関して、既存製品のプラスチック素材から、アルミ素材に変更。質感の向上に加え、ロボットであることを特徴づけるような意図で素材を変更した。加えて、取り付け可能なドアの種類を増やすため、初代製品と比較しスリムな筐体を採用した。

会場には開発途中のデザインを示す展示があった。こちらは「Akerun Pro」の3Dプリンタ出力によるモック

初代Akerunのが製品化されるまえの試作品

その他、同製品で得られたドアの開閉状況や解錠したユーザーといった情報を専用のマネージャーアプリケーションで確認可能なため、それらの情報を用いた勤怠管理や業務改善が可能と語る。

例えば「タバコ部屋を誰がどの程度利用したか」というようなデータによる勤怠管理から、「全員が退出した時点でロボット掃除機を起動し、夜間に清掃する」といった雑務解消まで可能になるという。河瀬氏はプレゼンテーションの中で、こうした活用の可能性が、Akerunシリーズを単なる「鍵」ではなく「スマートロックロボット」と定義してきた狙いでもあると述べた。

なお、同製品は入退室データの管理を含めたサービスとしての提供のため、レンタルでの月額利用品として提供される。API経由での各種データ利用については、基本的にユーザー側での開発を想定。販売目標として、Akerun Pro単一種において、3年間で1万台の提供を掲げている。