VR関連の周辺機器、ソフトウェアなどを開発するアイデアレンズは、6月15日にオールインワンVRヘッドセット機「IDEALENS K2」(以下、K2)を発表。本稿では、同日行われた発表会の内容と、製品の体験レポートをお伝えする。

IDEALENS K2。価格は未定で、2016年秋に発売される予定

VRのオールインワンってなに?

現在、家庭用ゲーム機でVRを体験できる「PlayStation VR」や、スマホと組み合わせて使う「Gear VR」など、さまざまなVRデバイスが話題を呼んでいる。K2もこれらと同じVR機器だが、最大の特徴は「オールインワン」であること。

前述のPlayStation VRやGear VRは各種センサーなどは搭載するものの、基本的にはテレビやディスプレイと同じ「映像を出力するデバイス」だ。しかし今回のK2は、ヘッドマウントデバイス内に独自のIDEAL OS、CPU、GPU、ストレージ(32GB)、microSDカードスロットなどを搭載する一体型ヘッドマウント機器。このため、ポータブルゲーム機のように、デバイスを外に持ち出してVRを楽しめる。バッテリー駆動時間は2時間。また、使用のたびに外部機器と接続したり、ペアリングしたりといった作業が必要ないので、スマホを使用するように手軽に使えるのが最大のメリットだ。

装着性や性能の高さも特徴だ。ディスプレイには有機ELを採用しており、解像度は2Kクラス、リフレッシュレートは90Hz。さらに、視野角は120度と高いスペックを有している。

K2の形状は独特。頭に触れる部分にはクッションが入っており装着性が良い

3.81インチの有機ELパネルを2枚搭載。ゴーグル内には空間があるので、眼鏡をかけたまま装着することもできる

右側に操作用のタッチパネルを搭載。タッチパネル上部の小さなボタンはホームボタン

後頭部側にはイヤホンジャックを装備。一般的なイヤホンを接続し、音声も楽しめる。将来的には専用ヘッドホンデバイスも開発予定だとか

3秒で装着、しかも軽い!

一般的に、VRデバイスはゲーム用途で使用することを想定しているため、激しい動きにも耐えられるようにヘッドバンドなどで固定するものが多い。それゆえ装着に手間がかかってしまうのだが、K2はデバイスが前後に広がるクリップのようなデザインを採用。手でデバイスを押し広げ、頭にのせて手を離せば装着完了。3秒もあれば着けられる。

さらに、装着して驚くのが本体の軽さだ。オールインワンデバイスながら重量はわずか295g。アイデアレンズによると、現在発表されている高級VRデバイスで重量が300g以下の製品はほとんどないという。また、多くのVRデバイスはゴーグル部分に重心がかかり、前面に重みを感じやすいのだが、K2は後頭部にバッテリーを配置することで全体の重量バランスをとっている。このため、長時間装着していて疲れにくい。

通常時はくるんと曲がっているヘッドバンド部を、グイッと広げて頭に装着するだけ。装着に時間がかからず手軽

K2を装着した状態。頭の小さな女性が首を激しく振ってもほとんどグラグラしなかった。頭との接地部分にはクッションがあるので装着感も良好

VRコンテンツを体験

会場ではさまざまなVRコンテンツを体験。ジェットコースターに乗る、恐竜の世界に入り込むといったVRアトラクションはもちろん、自転車デバイスと接続して遊べるゲーム、専用ポインティングデバイスを使用して映像内のモノを握ったり動かしたりする体験など、さまざまなアトラクションが楽しめた。

ジェットコースターに乗った映像を楽しむVR定番のアトラクション。映像に合わせて自然に身体が体重移動してしまうため、じつは立っているのがやっと

こちらもVRアトラクションの定番、自転車を操作してVRの世界を動き回るゲーム。ハンドルで方向を操作し、ペダルをこぐと速度が変化する

ポインティングデバイスを使うアトラクション。画面内のアイテムを「握る」「拾う」といったアクションが行える

一人一台の時代は到来するか

発表会では、アイデアレンズの創設者であり、CEOのソン・ハイタオ博士が登壇「VRは現在ゲームが注目されているが、今後はスマホのように生活に欠かせないデバイスになる可能性を秘めている。時期はわからないが、あと数年すれば、誰もが一台ずつVRデバイスをもつ時代になるかもしれない」とコメント。 ちなみに、今回の発表会は360度撮影可能なパノラマカメラ「IDEALOEYE」で撮影。この様子は、中国でリアルタイムにVR配信されたという。

アイデアレンズ CEOのソン・ハイタオ博士

360度撮影可能なパノラマカメラ「IDEALOEYE」