日立製作所は5月18日、都内で記者会見を開き、2018年度を最終年度とした3カ年の新中期経営計画「2018 中期経営計画」を発表した。2018年度に売上高10兆円(2015年度実績:10兆343億円)、営業利益率(同:6.3%)とEBIT(同5.3%、Earnings Before Interest Taxes:受取利息および支払利息調整後税引前当期利益)は8%超を計画している。

日立製作所 執行役社長兼CEOの東原敏昭氏

冒頭、日立製作所 執行役社長兼CEOの東原敏昭氏は2013~2015年度を振り返りと新中期経営計画について「2013~2015年度は鉄道やITアナリティクスなどの企業買収で売上高が6000億円増加した一方、火力事業や海外の空調事業などの資本提携により9000億円減少した。また、反省点は海外のプロジェクト管理の不徹底でロスコストを出したほか、通信・ストレージ市場の変化への対応が遅れたことだ。新中期経営計画では、これまで提供しているOT(Operational Technology:産業機器やプラント、社会インフラ設備などの実際の運用に関わるノウハウや技術)×IT×プロダクト・システムといった社会イノベーションを、さらにビジネスに活かしていく」と意気込みを語った。

新中期経営計画では、社会イノベーション事業の機会拡大としてデジタル化に伴う産業・社会インフラの再編を加速させるほか、「電力・エネルギー」「産業・流通・水」鉄道やデベロッパーなどの「アーバン」「金融・公共・ヘルスケア」の4事業分野に注力し、IoT時代のイノベーションパートナーを目指すという。

社会イノベーション事業の強化として、具体的にはデジタル技術を活用した社会イノベーション事業を牽引事業に位置付け、同社のIoTプラットフォーム「Lumada」を事業のコアに末、顧客がデジタル技術によるイノベーションを迅速かつ容易に手に入れる手段を提供する。

また、顧客の近くでサービスを開発・提供するビジネスユニットであるフロントの人員を2万人増強・強化。2018年度には13万人に増員させることに加え、各地域のニーズに合わせたサービスの開発を行う社会イノベーション協創センタを活用し、顧客の近くで研究開発を推進していく。さらに、プロダクトの強化ではデジタル化に対応し、イノベーションを支えるプロダクトを拡大するとともにグローバル競争力のあるプロダクトへ重点投資する。

一方、経営基盤の強化では経営のスピードアップとグローバル事業の伸長、低収益事業の見極めなど事業収益性の向上、成長事業への投資として3年間総額で1兆円の投融資を行う。加えて、キャッシュ創出力の強化は目標原価の設計と調達日・固定費の低減を図るコスト構造の見直し、IT活用による生産リードタイム・棚卸資産の圧縮する運転資本の効率向上、工場間で生産設備を共用する投資・資産効率の向上に取り組む。

下のスライドは各種数値目標など2018年の日立グループの姿。

フロントが売上・収益の拡大を牽引

注力分野を重点強化

デジタル技術でサービスとプロダクトの両輪で成長