「イライラする」「肌荒れが目立つ」「胸が張る」……。病気というほどではないけれど、何となく感じる不調。それが決まって月経前に起きるようなら、それはPMS(Premenstrual Syndrome: 月経前症候群)と考えていいかもしれない。 AACクリニック銀座の浜中聡子院長に今回、PMSの症状とその対策について話を聞いてみた。

排卵期から月経前の間に起こるPMS

女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類がある。下の表にあるように排卵期から月経までの間、すなわちエストロゲンよりプロゲステロンが優位になる期間にPMSの症状は現れる。女性ならば多かれ少なかれ、思い当たることがあるのではないだろうか。

エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が増減する周期

先ほども話したとおり、PMSになると心と身体に症状が現れてくることも。PMSの代表的な症状は以下の通りだ。

「イライラする」「気分が落ち込む」「涙もろくなる」「どんよりする」「集中できない」「張りつめた緊張感が続く」「気分のアップダウンが激しい」など。

肌・体

「肌荒れ」「ニキビ」「むくみ」「胸が張る」「体がだるい」「食欲が旺盛になる」「常に眠気がする」など。

では、どのようにPMSに対処したらよいのかと疑問に思うかもしれないが、「すぐに大げさに考えることはなく、まずは毎日の生活習慣の見直しを図ることが先決」と浜中先生。

自分の月経周期を把握する

その第一歩として、自分の月経周期を知ることから始めてみよう。基礎体温を計るのがベストだが、面倒なら月経日を手帳につけるだけでもOK。自分の月経周期を把握すれば、自ずとPMSの時期も予測ができ、その時期に向けて心も体もスタンバイできるということ。

可能な範囲で「大事な用事を入れない」「仕事を詰め込み過ぎない」などスケジュールを調整すれば、さまざまなプレッシャーも軽減できる。

次に大切なのは、偏らない食生活と十分な睡眠。アルコールやカフェイン、塩分の摂り過ぎは症状を悪化させる要因となるので、月経が始まる1週間前くらいから控えめにするように心掛けよう。

ただ、この時期は精神的に不安定になりやすいため、それを食欲でカバーしたくなるのが現実。食欲をセーブしてしまうと、その行為自体がストレスとなるため、少しのご褒美は必要となる。

特にチョコレートには、ハッピーな気持ちに導く「βエンドルフィン」の分泌を促す働きがあるため、本能的に欲してしまうもの。板チョコ1枚は肌荒れにもなりやすく食べ過ぎだが、ひとくち食べて気分が落ち着くのであれば、それもOK。コントロールが必要ではあるが、ストイックになり過ぎないことがポイントと言える。

日常生活に支障が出る「PMDD」

このように健康な女性であれば、一定の周期でエストロゲンやプロゲステロンのバランスに変化があるのは当たり前のこと。つまり、多少のPMSの症状があるのは、正常なホルモン分泌がおこなわれている証しなのだ。

ただ、問題となるのは仕事を休んだり、家事ができなくなったりするなど、日常生活に大きな支障が出る場合。これはPMSではなく、PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder: 月経前不快気分障害)という病気の可能性も考えられる。

症状が重い場合は「月経前だから」で終わらせず、まずは婦人科を受診することが望ましい。今は低容量のピルなどでも症状を抑えることができるので、医師と相談してみてはいかがだろうか。

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