国土交通省は17日、熊本地震に関する災害情報の中で、九州新幹線や在来線(JR・民鉄)の新たな施設被害の情報を出した。九州新幹線は14日夜の地震発生以来、博多~鹿児島中央間の全区間で運転を見合わせ、在来線もJR豊肥本線・鹿児島本線や熊本電気鉄道、熊本市電など、熊本地区を中心に運転見合わせが続いている。

九州新幹線800系

九州新幹線は14日夜の地震発生後、熊本駅から熊本総合車両所へ向かう途中の回送列車1編成(6両編成)が本線上で全軸脱線。その他、熊本~新八代間のスラブ軌道損傷と締結ボルト折損、新玉名~熊本間の防音壁落下と固定ボルト浮き上がり、熊本駅の施設の一部損傷、熊本総合車両所構内の路盤損傷などの施設被害が報告されていた。

今回、新たに報告された施設被害は、新玉名~熊本間「高架橋の柱のヒビ、調整桁ズレ、沿線の煙突倒壊(線路を支障)」、熊本~新八代間「防音壁落下、調整桁ズレ、高架橋の柱のヒビ」、本線から車庫への回送線「軌道変状」、熊本保守基地「天井クレーン落下」、新八代駅「ホーム桁損傷」。なお、JR九州は4月18日の運転計画の中で、九州新幹線に関して「脱線車両の復旧のほか、被害のあった設備等の調査・復旧に努めていますが、余震が続いていることもあり、復旧の目途は立っておりません」と説明している。

在来線では、16日未明の地震でJR豊肥本線の回送列車が赤水駅付近で脱線(負傷者なし)したが、17日13時29分までに列車を移動させ、道路支障を解消したと報告された。豊肥本線立野~赤水間で土砂流入も発生したが、国交省によれば「現地に係員入れず詳細不明」とのこと。豊後荻~玉来間「落石」も新たに報告された。豊肥本線に関しては、JR九州も4月18日の運転計画の中で「運転再開にはかなりの期間を要する見込み」としている。

久大本線では、野矢~由布院間「道床沈下」、由布院~南由布間「架道橋土留め壁亀裂」の被害が報告された。久大本線は17日午後までに全線で運転再開したことが報道されている。南阿蘇鉄道でも16日未明の地震による施設被害が報告され、「立野駅~長陽駅間トンネル内壁クラック、橋梁に変状等が認められるが詳細不明」とのこと。同社は16日以降、しばらくの間運転見合わせとすることを発表している。

熊本電気鉄道「くまモン電車」

熊本市交通局の超低床電車「COCORO」

熊本電気鉄道は16日未明の地震で、藤崎宮前~黒髪町間・打越~坪井川公園間の軌道ズレ、藤崎線で数カ所の線路脇ブロック塀倒壊、北熊本駅ホームの一部損壊、北熊本~亀井間の跨線橋(国道)沈下、須屋駅・御代志駅ホームの一部地割れ、多数の架線吊り外れなどの施設被害が報告されていた。国交省の17日の災害情報では、新たに池田駅で「ホームの石積みの一部倒壊」、亀井駅で「ホームに地割れ」が報告されている。

熊本市電も杉塘~段山町間の軌道破断、交通局前停留場付近の歩道橋照明灯の倒壊、動植物園入口~健軍交番前間の軌道陥没が報告されている。熊本市交通局によれば、14日の地震で超低床電車「COCORO」の車体も一部損傷し、しばらくの間運休するという。