NECは4月12日、業務システム構築基盤ソフトウェア「SystemDirector Enterprise」の新製品2種を同日より販売すると発表した。出荷開始は4月28日を予定している。

新たに提供を開始するのは、ソースコードなどからシステム内のプログラム資産を可視化し、業務アプリケーション保守の効率化を支援する「SystemDirector Enterprise Asset Innovation Suite」(AIS)と、設計書から帳票フォームとテスト用帳票データを自動生成し、帳票開発の効率化を実現する「SystemDirector Enterprise for Report」の2製品。

AISは、既存資産を見える化し、アプリケーションの資産管理の効率化を行うツール。プログラムソースなどを読み込んで、欠損(あるいは未更新)しているプログラムの設計書を作成する。

利用イメージは、既存システムのプログラム、画面、帳票、DB/ファイルスキーマ、稼動ログなどをWindows環境のAISサーバに読み込んでデータを分析、結果を資産情報、関係情報などのデータベースとして蓄えていく。そして、資産可視化・資産診断を実行することで、データベースの情報から資産一覧、画面・帳票レイアウト、データ定義、オンライン定義、コール関係などの情報を、クライアントPCで閲覧可能なCSVファイルとして出力する。

価格は、本数(1000本単位)と利用月数で課金され、1000本を3カ月使用した場合は25万円(税別)。

「SystemDirector Enterprise Asset Innovation Suite」(AIS)の概要

具体的な分析機能としては、資産一覧、稼働状況、画面・帳票レイアウト分析、ファイルレイアウト分析、DBテーブル分析、DBスキーマ分析、オンライン定義分析、ジョブ定義分析、CRUD分析、用語分析がある。ほかに影響波及診断、データフロー診断、メトリクス診断、類似資産診断という診断機能をもつ。

AISの分析機能

AISの診断機能

NEC クラウドプラットフォーム事業部 シニアエキスパート 森茂雄氏

NEC クラウドプラットフォーム事業部 シニアエキスパート 森茂雄氏は、AISをリリースする背景を「SystemDirector Enterpriseは2006年から提供しており、今回、その範囲を保守業務にまで広げた。SOR(System of Recordの略で、企業内の種々の業務を支援するシステムを指す)の分野では、保守要員の退職や設計書の欠損等でアプリケーションの保守コストに課題がある。これらを解決するために新製品を投入した。これまでSystemDirector Enterpriseでは、要件定義やテストの分野を提供していたが、保守業務の部分がないということで、この部分にフォーカスを当てた業務アプリケーション分析基盤を発売する」と、その背景を説明した。

AISの対象は、NECのメインフレーム「ACOS-4」のCOBOLで、年内にはACOS-2にも対応。また、今後はレガシーオープンシステムといわれるUNIX、C、JAVA、.NETなどにもターゲットを広げていく。

一方の「SystemDirector Enterprise for Report」は、帳票開発プロセスを効率化する製品で、帳票レイアウト仕様書から帳票フォーム/テストデータを生成してプレビューが可能なフォーム生成ツールと、アプリケーションの製造・デバッグ・テストができる、帳票AP生成ツール(次バージョン)を提供する。価格は30万円(税別)~。

「SystemDirector Enterprise for Report」の提供機能

同社では、新製品も含め「SystemDirector Enterprise」を今後3年間で1000本を目標に販売していく。