Bluetoothの規格策定や認証を行うBluetooth Special Interest Group(Bluetooth SIG)はこのほど、開発者プログラムディレクターのスティーブ・ヘーゲンデルファー氏が来日し、IoTに対するBluetoothの今後の方向性について説明した。
ヘーゲンデルファー氏は冒頭、ABI Reserachの調査報告を引用し「IoTデバイスは2020年までに450億台に達するとされている。その中でBluetoothを搭載したデバイスは140億個に上ると予測されている。つまり、IoTデバイスの3つに1つはBluetoothを搭載することになる」と語り、BluetoothがIoTにおいて重要な役割を果たすとの認識を示した。Bluetooth SIGの会員数も年々増え続けており、現在は2万8500の会員がBluetooth SIGに加入している。
こうした状況の中、Bluetoothは3つのポイントにおいて進化していく。まず、1つ目は通信範囲の拡大。Bluetoothの通信範囲はおよそ10mと言われているが、Bluetooth Low Energyによって50~100mの通信が実現しており、シリコン・ラボラトリーズなどが提供しているモジュールでは400mの通信が可能となる。2つ目は通信速度。従来の消費電力のまま速度を2倍に向上することで、医療機器などのアプリケーションにおけるデータ転送速度を高速化し、応答速度の向上、待機時間の短縮を実現するとしている。3つ目はBluetooth搭載デバイスが相互に通信するメッシュネットワークで、同技術により、例えばビルや住宅全体をカバーする柔軟なネットワークの構築が可能となる。なお、同氏によれば、これらの技術アップデートは今年中にも発表される見通しとのこと。
ヘーゲンデルファー氏はBluetoothを用いた具体的なソリューションとしてビーコンの可能性についても言及。現在Bluetoothビーコンは主に小売業で利用されているが、消防や警察などにおける緊急対応でも活用することができるほか、予算の小さい小規模農場などで土壌の湿度や温度などをモニタすることが可能になるとした。また、現状RFIDを用いて行っているビルなどの資産管理についてもBluetoothのメッシュネットワークを用いることでより柔軟になるとするなど、Bluetoothが実現するソリューションの幅広さを強調した。