東京メトロはこのほど、中期経営計画「東京メトロプラン2018 ~『安心の提供』と『成長への挑戦』~」と、2016年度の事業計画を同社ウェブサイトに公開した。鉄道の安全・安定運行に向けた取組みとして、新型車両の導入・既存車両のリニューアルなどを行い、丸ノ内線へ新型車両を導入することも明らかにされた。

東京メトロ丸ノ内線02系。2018年度から丸ノ内線に新型車両が導入されるという

同社は現在、銀座線・千代田線へ新型車両導入を進めており、銀座線は2016年度、千代田線は2017年度までに導入完了となる。2016年度は新たに日比谷線で新型車両13000系の導入を開始する。この車両は相互直通運転を行う東武鉄道の新型車両(70000系)と規格を統一した20m車両となり、2020年度までに全44編成を導入する予定。新型車両による置換えを機に、銀座線は2017~2018年度、千代田線は2018~2020年度、日比谷線は2020~2022年度にかけて、それぞれホームドア設置工事を実施する。

丸ノ内線に導入される新型車両は6両編成で、「2018年度から順次営業開始」とされた。2022年度までに全53編成を導入するという。丸ノ内線では、支線の終点である方南町駅のホーム延伸工事も推進されており、2019年度をめどに中野坂上~方南町間の運行形態を見直し、池袋方面から6両編成列車による直通運転を開始する予定となっている。

日比谷線新型車両13000系イメージ(東京メトロ提供)

南北線9000系リニューアル車両イメージ(東京メトロ提供)

新型車両が導入される日比谷線・丸ノ内線はともに急曲線が多いことから、銀座線1000系でも採用された操舵台車を導入。日比谷線は新開発の狭軌用操舵台車を採用する。銀座線・丸ノ内線では、列車の走行安定性を高め、環境負荷を低減することを目的に、標準電圧を600Vから750Vに変更。丸ノ内線は2022年度、高い遅延回復効果を得られるCBTC(無線式列車制御)システムを導入する予定だ。

東西線は2016年度、ワイドドア車両3編成を導入。既存車両のリニューアル工事も2021年度までに完了する。飯田橋~九段下間の折返し線の整備、茅場町駅・木場駅・南砂町駅の大規模改良など、喫緊の課題である混雑緩和にも取り組む。南北線は2016~2018年度に既存車両8編成のリニューアル工事を行い、外観デザインも一部変更。千代田線では北綾瀬駅ホーム延伸工事が推進され、2018年度から10両編成列車による直通運転を開始する予定。綾瀬駅の混雑緩和と利便性向上・輸送力増強を図る。

2019年度供用開始予定の銀座線渋谷駅イメージ(東京メトロ提供)

銀座線は2017年に開業90周年を迎えることから、記念の各種イベントを企画・実施。開通当時の車両をモチーフとした1000系特別仕様車両も2編成導入される。2019年度には、渋谷駅街区基盤整備の一環で移設・改良された銀座線渋谷駅の新ホームが供用開始される予定。2020年度には浅草駅構内の折返し線も整備され、上野~浅草間の列車増発が可能となる。新橋駅の大規模改良も行われ、2022年度の供用開始を予定している。

東京都交通局と連携した東京の地下鉄サービス一体化も図られる。人形町駅での東京メトロ日比谷線・都営浅草線の改札通過サービスを導入するほか、人形町駅と水天宮前駅(東京メトロ半蔵門線)が新たに乗換駅に設定される。東京メトロ・都営地下鉄で仕様を共通化した次世代券売機の導入なども進めるとのこと。