シスコシステムズは3月14日、企業のデジタル変革を加速する、オープンで拡張可能なソフトウェア志向の新たなアーキテクチャ「Digital Architecture(DNA)」を発表した。

DNAは、デジタルビジネスの基盤を構築するためにカギとなる「仮想化」「自動化」「クラウドサービスの管理」「アナリティクス」「プログラマビリティ」といった要素を一体化するプラットフォーム。同社の「Application Centric Infrastructure(ACI)」を補完するもので、Cisco ONE Softwareを通じて提供される。

DNAにおいて自動化を実現する製品としては、最大4,000台のデバイスを稼働させることのできる「APIC-Enterprise Module(APIC EM)プラットフォーム」が提供される。APIC EMには、ルータやスイッチ製品にエージェントを搭載する「Cisco Plug and Play」、ネットワークの幅広いQoS設定を動的にアップデートする「Easy Quality of Service」が含まれる。

仮想化を実現する製品としては、「Evolved Cisco IOS XE」が提供される。同製品は発表時点で、Cisco Catalyst 3850/3650、ASR 1000、ISR 4000をサポートしており、サポートの範囲をエンタープライズ ネットワーク ポートフォリオ全体に拡大していく。Evolved Cisco IOS XEには、ハードウェアとソフトウェアを切り離し、環境にとらわれずにあらゆる機能を自由に選択して稼働させることができる「Enterprise Network Function Virtualization(Enterprise NFV)」が含まれている。Enterprise NFVは、ブランチオフィスのサービスを仮想化する。

クラウドサービスを管理する製品としては「CMX Cloud」が提供される。CMX Cloudの導入により、企業はWi-Fiへのオンボーディングが容易に行え、集積された顧客の行動データにアクセスして顧客エンゲージメントを向上できる。

「Digital Network Architecture」の概要

米シスコシステムズ シニア バイス プレジデント 兼 チーフ デジタル オフィサーのケビン・バンディ氏

最近、「ビジネスのデジタル化」「デジタル・トランスフォーメーション」といった言葉を耳にする。企業は市場の競争に勝ち抜くために、デジタルやITにより変革を起こす必要があると言われている。

シニア バイス プレジデント 兼 チーフ デジタル オフィサーのケビン・バンディ氏が、その職位を踏まえ、ビジネスのデジタル化について説明した。デジタル化を行う際は、適切なテクノロジーを選定し、それらを活用して、ビジネスモデルをリエンジニアリングしていく必要があるという。

「ビジネスのデジタル化によってイノベーションが増加するが、その結果、企業ではオペレーションモデルが変化する。テクノロジーがビジネス戦略に影響を及ぼすようになっており、テクノロジーによってビジネスが変わる」(バンディ氏)

チーフ デジタル オフィサーのトレンドとして、「CIOを置き換える」「ビジネスにデジタルテクノロジーを取り込む」「新たなビジネスモデルを構築する」の3点が見られるという。ただ、「CIOの置き換えは欠陥のあるモデル」とバンディ氏。

バンディ氏は、デジタル化とは働き方の再創造を意味し、具体的にはITにフォーカスして「データ主導の組織」「成果ベース」「長期的な差別化」「継続的なイノベーション」を行うことであり、価値の再創造をもたらすと説明した。