日本企業においてCMO(最高マーケティング責任者)またはこれに相当する役員が社内にいる存在する割合は2015年11月の時点で39.9%であり、2014年の調査の29.8%から増加した。ガートナー ジャパンが1月25日に発表した調査結果による。

社内にCMOまたは相当する役員が存在する国内企業の比率

CMOまたは相当する役員が存在する国内企業は、2013年の調査では25.8%、2014年は4.0ポイント増の29.8%、2015年は同10.1ポイント増の39.9%と、比率・増加率共に年を追って上昇している。 この結果は、デジタル・マーケティングが代表するようにデジタルの勢いが国内におけるマーケティング業務の変革を促進し、専門特化した組織と責任者の必要性が強く認識されるようになった結果と同社は考えている。

一方、同社が実施した別の調査からも、これまでITを活用してCRMなどの顧客関連施策に取り組んできた担当者は「ITとマーケティングの組織的連携や役割分担の明確化が最重要課題である」と考えていることが明らかになっているという。 こうした必要性や課題の背景として、マーケティング業務にデジタル・テクノロジーを採用する際に、予算の確保や実装・運用方法などをめぐって部門間での摩擦が起こるようになっていると同社は見る。

同社のリサーチ部門主席アナリストであり、2月24日に開催予定の「ガートナー カスタマー 360 サミット 2016」でチェア・パーソンを務める川辺謙介氏は、多くの日本企業の組織体制にCMOという地位がなじまないと考えられるため「欧米企業における『CMO』とは、厳密な意味で同じとは言えないかも知れません」とした上で、「マーケティング施策に必要なテクノロジーが高度化すればするほど、顧客の取引履歴や商品の情報など、IT部門が司る基幹システムとの連携が必要になってきます。よって、マーケティング部門とIT部門の密接な連携無しには、ビジネスの成長を支える発展的なマーケティングを実現することが難しくなっていきます」と指摘している。