東京コピーライターズクラブ(以下、TCC)は12月21日、一年間の広告に使用されたキャッチフレーズとなる「広告コピー」を集約し、高頻度で登場した単語に関する統計を分析、その内容を「広告コピービッグデータ解析」として発表した。

同分析では、2015年TCC賞の選考対象となった広告コピー8,119件を自然言語解析。これによると、「最も多く見られる広告コピーは8単語によるもの」との結果に。さらに、語順・品詞別頻出単語トップ10から、文章が成立する単語を選出し浮き上がったコピーが「あなたのことは、すきだ。」となり、2015年広告コピーの「平均値」といえるという。

なお、語順・品詞別頻出単語トップ10一覧は次のとおり。

同分析によると、品詞別の頻出単語の特徴としては、名詞の場合「人」「私」「あなた」が上位を占める。TVやラジオのCMといった映像・音声では「あなた」より「私」、グラフィック系のコピーは「私」より「あなた」の方が、それぞれ出現回数が高い。

一方、動詞の場合は、「する」「なる」「ある」が不動のトップ3で、その下に「言う」「思う」「見る」「行く」が並ぶ。「~する」の特徴的な組み合わせは「応援する」「結婚する」「想像する」など。形容詞の場合「いい」「ない」「おいしい」が登場し、「悪い」や「のろい」といったネガティブなワードも多く見られた。

「あなたのことは、好きだ。」

こうした解析結果をふまえ、あらためて2015年の広告集約コピー「あなたのことは、好きだ。」を見ると、広告表現は不特定多数の「誰か」への発信から、より他の誰でもなく選ばれた「あなた」に向けて語りかけるものになってきているともいえるようだ。

同社は、「『あなたのことは、好きだ。(でもあなたのこういうところが~)』と、あとに続く言葉は決して心穏やかな内容ではなさそうだが、そこがかえって今年の世相や大衆の気分とリンクしていそうな結果を示したのは、なんとも皮肉な話。年末年始、身近な人々と一緒に過ごす機会の多いこの時期に『あなた』なら『私』にどんな言葉を続けるのか、話に花を咲かせてみてはいかがだろうか」としている。