富士通、富士通研究所、北里研究所 北里大学東洋医学総合研究所(東洋医学総合研究所)は12月10日、触診時の漢方医の触感をデータ化するグローブ型触感センサを共同で開発したと発表した。

漢方医学の診断基準は問診・脈診・舌診・腹診などによる漢方医の主観および知識に依存することが多く、診断基準を漢方医の育成などに活用するには診断の形式知化や客観が必要となる。

今回開発したグローブ型触感センサは、電界が無くても正負の電荷が分かれる性質をもつ誘電体薄膜を圧力検知素子として用い、加圧時に内部の電荷の状態が変化する特性を利用して、高感度な圧力センサを実現した。ポリマーフィルムを使って薄さ100~300μmまで薄膜化したことで、医師の手触り感を損ねることなく高感度かつ安全にセンシングできるほか、圧力検知素子自体の駆動電源を不要とした。

また、グローブの指先部に反射マーカーを取り付け、マーカーの動きを検知する近赤外線カメラにより、医師の手の動きを約0.2mmの精度で検知するシステムを構築。10ミリ秒ごとに触診の位置を取得し、圧力センサから取得したデータと組み合わせることで、触診の正確な位置と圧力を同期して記録することが可能となっている。実験では、圧力センサとして実際の触診に限りなく近い数値データを取得できることが確認されたという。

富士通らは今後、センサ感度のさらなる向上や手のひらなど圧力センサーの適用範囲拡大を検討し、開発技術により漢方専門医の触診をデータ化し大量に蓄積・客観化して、医師の触診の支援につなげていくとしている。

グローブ型触感センサー(左)、触感データ取得システム(右)