Mozilla Corporationによれば、現在さまざまなスマートデバイス向けに提供が行われている「Firefox OS」について、同OSを搭載したスマートフォンの携帯キャリア経由での提供を取り止める計画だという。一方で、スマートフォン以外の同OSの提供終了についてはアナウンスしておらず、この詳細については改めて説明が行われることになるとみられる。

ギーク向けにということで、KDDIより発売されたFirefox OS搭載のスマートフォン「Fx0」(LG エレクトロニクス製)

同件はTechCrunchが12月8日(米国時間)に報じている。もともとは米フロリダ州オーランドで開催されていた開発者会議のMozlandoで発表されたもので、参加者の間らでインターネットを通じて情報が拡散していた。後にTechCrunchがMozillaのコネクテッドデバイス担当SVPのAri Jaaksi氏による公式声明としてスマートフォン事業撤退を報じている。

Firefox OSの正式デビューは2013年1~2月までさかのぼる。当時は搭載デバイスの発表は行われておらず、パートナーの発表とデモストレーションが披露されただけだった。同年半ばに最初のFirefox OSがデビューし、主にローエンド市場をターゲットに東欧などの地域を中心に市場投入されている。日本でのデビューは昨年2014年末となり、KDDIから「Fx0」の名称で製品が投入された。世界デビューとは状況が異なり、日本で投入されたのはハイエンドに近いカテゴリの製品となっており、ターゲットも一般ユーザーではなく、いわゆるギークや開発者に向けたものだった。その発表会も一般的な体裁ではなく、ハッカソンの模様を世界中継するなど、異色なものだった。

第3のOSの1つとしてデビューしたFirefox OSだったが、世界市場ではローエンドから攻めたものの市場シェアに食い込むことはできなかった。日本ではターゲットを変更したものの、そもそもニッチを狙った製品であり、その後の広がりはみられなかった。商用製品である以上、携帯メーカーやキャリアらの好感触を得られなかったことが計画中止の判断につながったのかもしれない。なお、前述のように今回出てきている情報はTechCrunchが報道した公式声明の内容のみであり、Firefox OSの今後に関する詳細は、別の場で改めて発表されることになるだろう。来年初頭のMozillaの動向に注目してほしい。