数々の人気脚本家を輩出してきた「第27回フジテレビヤングシナリオ大賞」の受賞者が3日に発表され、大賞には千葉県在住の会社員・青塚美穂さん(31)の『超限定能力』が選ばれた。
坂元裕二、野島伸司、尾崎将也、古家和尚といった脚本家が受賞してきた同賞。今回は2,061編の応募があり、その中から大賞に選ばれた『超限定能力』のメインの舞台は電車の中だ。
ある日電車内の乗客たちの頭の上に、それぞれ降車駅名が浮かんで見えるようになった大学生が、その中で駅名が見えない男性を見つけて追ってみると、その男性が電車に飛び込んでしまう。ショックを受け、その後何度か駅名の見えない人を見つけても見て見ぬふりをしていたが、ある出来事をきっかけに、再び駅名が見えない人を見つけたとき、その人を助け出すというストーリーだ。大賞特典として映像化され、12月20日24時45分からフジテレビで放送。先日クランクアップしたが、出演者は近日発表される。
青塚さんは同日、東京・台場の同局で行われた記者会見で「まさか自分がこんな歴史ある賞の大賞をいただけるとは夢にも思っていなかったので、すごくうれしい」と歓喜。一方で、映像化に向けて脚本を直す作業では「自分がこんなにダメで、セリフも下手だって怒られ、いろいろヘコみながら、ゆりかもめで帰っていったのがいい思い出ですが、これをどんどん続けたいきたいなと思いました」とプロ意識をのぞかせた。
好きなドラマはフジテレビの月9『デート~恋とはどんなものかしら~』(杏主演)で、自身も「できれば月9で書きたいなと思います」と抱負。希望する主演俳優は「松坂桃李くん。かっこいいって思って」と話し、賞金の500万円は「松坂さんに会うために(ダイエットして)改造するのに使い切ります」と笑わせた。
フジテレビ編成制作局ドラマ制作センターの金井卓也部長は「即戦力で次のクールの月9から一緒にやりたい人たちという目線で探したつもり」と話しているが、実際に、今年度の月9ドラマは、4月クール『ようこそ、わが家へ』(脚本:黒岩勉)、7月クール『恋仲』(同:桑村さや香)、10月クール『5→9~私に恋したお坊さん~』(同:小山正太)、1月クール『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(同:坂元裕二)と、いずれの脚本家もヤングシナリオ大賞出身だ。
このほか、佳作(賞金100万円)には槌谷健さん(34)の『人体パズル』、井上聖司さん(21)の『龍に成る』、峯邦雄さんの『ゴーン・アイデンティティ』が受賞。井上さんは以前役者をやっており、売れない当時、最近『仮面ライダードライブ』にも出演した俳優の稲葉友と同居してともに苦労していたというが、有名になってから連絡が返ってこず、LINEも既読スルーされているため、今回の受賞を通じて返信をもらいたいと訴えた。
なお、次の「第28回フジテレビヤングシナリオ大賞」は、12月中旬から募集を開始。締め切りは来年2月29日23時59分で、受賞作は同年秋ごろに発表される予定で、賞金は今回と同じく大賞400万円、佳作各100万円となっている。