京都府・茶屋町の京都国立博物館は、京都の古社寺に伝来した名物刀の全てを一挙公開する特集陳列「刀剣を楽しむ─名物刀を中心に─」を開催する。会期は12月15日~2016年2月21日(月曜休館、ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館)。開館時間は9:30~17:00。観覧料は、一般520円、大学生260円、高校生以下・満18歳未満・満70歳以上は無料。
同展は、京都の古社寺に伝来した名物刀の全てを一挙公開し、数奇な運命に翻弄されながらも時代を生き抜いた名刀の数々が紹介されるもの。「名物」とは、徳川吉宗が、本阿弥家に命じて編纂させたとされる「享保 名物帳」に記載されている作品をさし、現在、名物帳記載の作品のうち、約30口が国宝に、40口弱が重要文化財に指定されているほか、10口余りが御物として保管されている。同展では、源氏に代々伝わり武家の棟梁の証とされた宝刀で、罪人を試し切りした際に髭まで切れたことから名付けられた「髭切」(重文「太刀 銘国綱」)と、膝まで切れたという「膝丸」(重文「太刀 銘□忠」)、離ればなれになっていた二振りが同時に公開される。また、無類の刀剣愛好家であった後鳥羽上皇が、山城・備前・備中の名工らを招集して自ら作刀し、菊花紋を刻んだことで菊の御紋の端緒となったとされている重文「太刀 菊御作」が展示される。後に「御番鍛冶」といわれた全国の超一流の名工たちは、上皇の作刀を補佐し、「菊御作」は、随所にその作風を見ることができる一振りとなっているということだ。
さらに、後鳥羽上皇の御番鍛冶として、筆頭の栄誉を受けた一文字派の祖・則宗の傑作で、足利尊氏が所用していたといわれる重文「太刀 銘□前国則宗(名物二ツ銘則宗)」、桶狭間の戦いで織田信長が今川義元より獲得した重文「刀(名物義元左文字)」、豊臣秀吉が絶賛した天下三作の一人にして短刀の名手、藤四郎吉光の手による重文「短刀 銘吉光(名物秋田藤四郎)」や、近代日本の扉を開き幕末の京都を駆け抜けた坂本龍馬の愛刀「刀 銘吉行」、そのほか重文「薙刀直し刀(名物骨喰藤四郎)」なども展示されるということだ。
また同展では、通常の京博名品ガイドに加え、ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」のキャラクターを演じる声優が展示を案内する特別音声ガイドが用意される。貸出価格は1台800円、会場限定配布のオリジナルポストカード付。ポストカードの絵柄は選べないが、4台セット(3,200円)の場合は、全4種各1枚のポストカードが付属する。出演は泰勇気(宗三左文字役)、鈴木裕斗(骨喰藤四郎役)、山谷祥生(秋田藤四郎役)、濱健人(陸奥守吉行役)。なお、鈴木氏が解説する「薙刀直し刀(名物骨喰藤四郎)」は、12月15日~1月17日のみの展示となり、展示期間終了後は、該当の解説トラックは欠番となる。
そのほか、同展にあわせて、展示作品をモチーフにした新商品「刀剣ブックマーカー」が「太刀 菊御作」、「刀 銘吉行」の2種販売されるということだ。価格は各600円。
また、関連企画として、「蜩ノ記」で直木賞を受賞するなど、時代小説を執筆している作家・葉室麟氏をゲストに迎えるトークイベント「見る、感じる、在りし日のもの語り」が開催される。開催日時は2016年1月17日13:00~15:30。なお、参加に際しては、当日12:00より平成知新館1階グランドロビーにて配布される整理券が必要となる(定員200名になり次第、配布終了)。聴講は無料だが、観覧券などが必要となる。