野村総合研究所(以下「NRI」)は2日、英オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士(※1)との共同研究により、国内601種類の職業(※2)について、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率を試算した結果、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との推計結果が得られたと発表した。

※1 マイケル A. オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フレイ博士:両氏は、英オックスフォード大学マーティンスクールにて、テクノロジーと雇用を研究するオックスフォード・マーティン・プログラムのダイレクターを共同で務めている。共著論文に"The Future of Employment: How susceptible are jobs to computerisation"(2013) がある。オズボーン氏は工学部に所属し、専門分野は機械学習、またフレイ氏はオックスフォード・マーティン・スクールのシティ・フェローであり専門分野は経済学
※2 国内601種類の職業:労働政策研究・研修機構が「職務構造に関する研究」で報告している601の職業が対象。同機構は、アンケート調査により、職業を構成する各種次元(職業興味、価値観、仕事環境、スキル、知識など)の定量データを分析している。職業ごとに30人以上のアンケート回答を収集でき、分析を行った職業が601種類となっている

この共同研究は、NRI未来創発センターが「"2030年"から日本を考える、"今"から2030年の日本に備える。」をテーマに行っている研究活動のひとつ。人口減少に伴い、労働力の減少が予測される日本において、人工知能やロボット等を活用して労働力を補完した場合の社会的影響に関する研究をしている。

試算(※3)は、労働政策研究・研修機構が2012年に公表した「職務構造に関する研究」で分類している、日本国内の601の職業に関する定量分析データを用いて、オズボーン准教授が米国および英国を対象に実施した分析と同様の手法で行い、その結果をNRIがまとめた。これによると、日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能やロボット等により代替できるようになる可能性が高いと推計された(図1)。

図1:人工知能やロボット等による代替可能性が高い労働人口の割合(日本、英国、米国の比較)

※3 試算や分析の方法について:今回の研究における分析は、労働政策研究・研修機構「職務構造に関する研究」から得られた職業を構成する各種次元の定量データをもとに、米国および英国における先行研究と同様の分析アルゴリズムを用いて実施。その結果、従事する一人の業務全てを、高い確率(66%以上)でコンピューターが代わりに遂行できる(技術的に人工知能やロボット等で代替できる)職種に就業している人数を推計し、それが就業者数全体に占める割合を算出している。あくまで、コンピューターによる技術的な代替可能性であり、実際に代替されるかどうかは、労働需給を含めた社会環境要因の影響も大きいと想定されるが、今回の試算においてそれらの社会環境要因は考慮していない。また、従事する一人の業務の一部分のみをコンピューターが代わりに遂行する確率や可能性については検討していない

人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業(50音順、並びは代替可能性確率とは無関係)(※職業名は、労働政策研究・研修機構「職務構造に関する研究」に対応)

創造性、協調性が必要な業務や、非定型な業務は、将来においても人が担う

この研究結果において、芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能等での代替は難しい傾向がある。一方、必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業については、人工知能等で代替できる可能性が高い傾向が確認できたという。

人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業(50音順、並びは代替可能性確率とは無関係)(※職業名は、労働政策研究・研修機構「職務構造に関する研究」に対応)

NRIでは、今後も技術の進歩と豊かな日本社会の在り方について、さまざまな調査研究を行い、分析結果やそれに基づく提言を発信していくとしている。